Novel Library

□『 さよならは朝の光の中で 2 』
2ページ/7ページ


本当に、今日の俺は変だ。
 どちらかと言えば、セックスは そんなに好きじゃない。 快感を得るより羞恥の方が強くて、自分から何かするなんて絶対にできないから、いつも先輩のペースで終始するセックスしかしたコトがない。
 それなのに、今日は自分から、触れて、舐めて、ねだった。
 セックスに没頭するコトで現実から逃げようとしたのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。
 ただ、いつもと違う俺を見たら、先輩は今日のコトを忘れないでいてくれるかもしれない、なんて考えがあったのは事実だ。
 
「先輩…あ……もっと…もっと、して……あっ…」

 ついさっきまで俺が咥えていた昂りが、今は俺の中で熱く脈打ち、律動を繰り返していた。
先輩が激しく腰を使うのに合わせて、自然に腰が揺らめき、奥までの刺激を求めて、もっと もっとと、ねだってしまう。

「お前…ヤバいぞ、詢。 …可愛すぎるっ」

 荒くなっていく呼吸の合間に聞こえる先輩の言葉が嬉しくて、泣き笑いのような笑みが浮かぶ。
 俺は、絶対 先輩を忘れないから……先輩も俺のコト覚えててね、小さなコト一つだけでもいーから…
 激しさを増す律動は俺を極みへと押し上げ、何もかも判らなくなっていく怖さに先輩の体にしがみつく。

「先…輩、あっぁん、も…我慢でき、な…」

「イケよ…俺、も…イクから――っん、くっ――」

 言うなり、何度か最奥を激しく突き上げられ、怖いくらいの快感に四肢を震わせて極みを迎えた俺の中で、先輩の熱が叩きつけられるように、そこを満たしていった。

『好き』と言う気持ちだけで、遠く離れた恋人を想い続けていられるだろうか?
 『想い』は、『淋しさ』に負けないのかな?
 『愛』は、『距離』に勝てるのかな?
 そして俺は…先輩に忘れられても生きていけるんだろうか?

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]