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□『 真夏の夜に… 』 TURNING POINT 番外編 第3話
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そう言いながら、修斗が手にした容器を颯生に向かって差し出してくる。

「それ、サンオイルじゃん! そんなの使って大丈夫なの!?」

「大丈夫だろ? サンオイルの主成分って、確か ひまわり油だし、直接 体に塗るものなんだから、ってコトで、これ使うか、颯生が痛い思いするかの二者択一。どっちがいい?」

 ニコニコと爽やかなアイドル級の笑顔で、とんでもない選択を迫ってくる修斗を見て、告白を受け入れたコトを颯生はホンの少し後悔したくなった。

「今日は諦めると言う、選択肢はないのかよ?」

「ない!」

 即座に一蹴されて、こちらが諦めるしかないと覚悟を決めるかわり、シャワーを浴びるのを交換条件に呑ませた。



「だいたい、さっき告ったばっかで、もうコレって、展開早過ぎない?」

 先にシャワーを終えた、修斗と入れ替わりで入ったシャワールームから颯生が声を掛けると、修斗にしてはぶっきらぼうな物言いで返事が返ってきた。

「全っ然、早くねーよ」

 颯生がシャワールームに入った時から、修斗はずっとドアの前に立っている。
 待ちきれないのだそうだ。

「俺が何年越しで颯生に触りたいと思い続けて来たと思ってんだ?」

 臆面も無く、そんな風に言われてしまうと返事のしようがないし、シャワールームから出るのもためらってしまう。
 けれど、シャワーの音が止んだコトで状況の総ては伝わっているのだから、このまま籠っている訳にもいかず覚悟を決めてドアを開けた。途端に柔らかな肌触りのタオルを頭から被せられ、ガシガシと髪を拭かれた。
 すると修斗らしからぬ声がタオル越しに耳へ届く。

「…俺、余裕なくて ごめんな? でも、家に帰ったら颯生の気が変わるんじゃないかって不安で…だから、どうしても、今 颯生を抱きたい…」

 確かにそれは、いつもの軽くてふざけてばかりの修斗とは違い、不似合なほど真面目で真剣な声だったから、思わず小さく吹き出してしまったものの、返事はちゃんとしてあげなければと思い、タオルの下から小声で答えた。

「…うん…いいよ」

 そう答えた途端に頭に被せられたタオルを外され、腰を引き寄せられた。
 修斗の顔を間近で見るコトができず、視線だけを逸らすと フワリと頭を撫でてくる。
 覚悟を決めたはずなのに、思わず修斗の胸を押し返した颯生の体のあちこちに、怯えからくる拒否が見え隠れしている。

「ホントに、ずっと触りたかったんだ。ずぅっと我慢してきたんだから、焦らすな…触らせろ… 」

 修斗の囁くような声に、頬が赤らんで行くのを感じながら、それを誤魔化すようにつっけんどんな言い方で視線は逸らしたままに聞いてみた。

「ったく、俺のどこがいーのか知らないけど…一体いつから好きだったのさ?」

「あれ? そんなコト聞いたりすんの?」

 フフッと笑って、知りたい?と、聞き返して来る。

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