「……え…?…」
視界に入って来たよく見慣れた景色に、しばし固まる。
それは毎朝、起きぬけに俺の視界に現れる…俺の部屋のクロス張りの天井だった。
状況が分らず、一度だけ首を傾げると、ハッと気づいて飛び起きた!
「夢…かよっ!?」
ハァ…、っとため息を一つ吐いた途端に、俺の顔が見る間に赤くなりだした。
(あ、ありえねーっ!)
そして、次の瞬間、ものすごい早さで今度は顔が青くなりだした。
(お、俺、なんでっ? あんな夢…)
ギャアーっと叫んで、ベッドの上でのた打ち回る。
でも、どんなに暴れ回っても、あんな夢を見て、しかもしっかりと記憶に残っている以上、どうにも逃げ場はないわけで、全身から吹き出す何だか分らない汗を感じながらタオルケットを頭からスッポリ被って縮こまった。
夢の内容もさることながら、孝輔の夢を見たコト自体がショックだった。
そして何より、俺に一番のダメージを与えたのは、隠しようもないくらいに熱を持って勃ち上がった、足の間の俺自身だった。
(あんな夢見て、これって……いやいや、ありえねー! 絶対に違う!)
曲げようのない事実と折り合いを着けるために、俺はブツブツと念じるようにつぶやいた。
(これは朝だから、朝だから…単なる生理現象で…そう、ただ朝だから…断じて夢のせいじゃないっ!)
そう思おうとすればするほど、夢の内容が脳裏に浮かんでくる上に、不意に夢の中の孝輔の声が頭をよぎった。 あれは、学校の更衣室で言われたセリフだったっけ?
あんなコトを臆面もなく言える奴だったなんて、全然知らなかった。