「あんまり長いコト寝たままだったから、死んでんじゃないかと思ったけど大丈夫そうね? ちょっと顔色良くないけど、具合悪いの?」
(さすが母親、するどい)
とりあえず、別に、とだけ答えた。
「学校は? 休むんなら電話するけど、そのかわりちゃんと病院行きなさいよ」
(病院? 行って、どこ診察してもらうんだよ)
俺は、少し慌てて
「大丈夫、学校行くから。どっこも悪くねーよ」
と、立ち上がった。
瞬間、鈍い痛みに顔をしかめそうになったけど、なんとか取り繕う。
「そう? じゃあ、お母さん出ないといけない時間だから行くけど…美緒も、さっき出たから戸締りお願いね?」
分ったから、と頷くとオカンは慌ただしくドアを閉めて階段を下りて行った。
「はぁ…」
これで、学校を休むわけには行かなくなった。 夏休みまで残り2週間ほどで、期末テストの後の授業なんて大したコトやらないし、体育はもう無かったはずだから大人しくしてれば、さほど困るコトもないだろうけど、孝輔と顔を合わせない訳にはいかないコトが俺の気を重くしていた。
ホントに、どんな顔して会えばいーんだろう?
つか、俺的には当分会いたくないし…って、当分ってどの位だ? 一週間? 一カ月? 夏休み中?
「……」
どのみち、いつかは会わなきゃなんねーんだよな。
それなら今日会ったって、同じなのかもしれないのか?
「……分らん…」
なんだかバカバカしくなってきて、俺は考えるのを止めると階下へ降りることにした。