目が覚めた時、カーテンの向こうはすでに明るくなっていて、朝だと気づいた。
ベッドの上で、身動きもしないまま天井をながめて、ぼんやりと考える。
(…学校、行きたくねー……っつーか、孝輔に会いたくねー)
枕元の時計に手を伸ばすのさえ嫌で時間も分らない。かなり長いコト寝てたはずなのに、疲労感は少しも取れていなかった。
さすがに、昨日の夕方から寝っぱなしだから、親だって心配し始めるだろうし、起きた方がいいのは分ってるけど、明け方の時のように痛い思いをしなければいけないのかと思うと、正直、起きたくはなかった。
(しょうがねーなぁ…)
意を決して…と言っても、そのまま起き上がることはしないで一旦体を横向きにしてから、恐る恐る上半身を起こしてみた。
けれど、覚悟していたような痛みは無かった。
ズキスギと疼くような痛みは残っているものの、動く度に傷口が広がるような激痛は襲って来ない。
完全に体を起こしてベッドの端に座ってみると、体中が筋肉痛のようで関節が熱を持っているようなどこか力が入らない感じだけど、別段動けないほどでもない程度には回復しているようだった。
何より、昨日一番酷い目にあわされた場所の痛みが楽になっているコトがホントに助かった。
こんなに早く良くなるものなのか……と思った時、思い出す。俺の意識が飛んだ後、俺の知らないうちに孝輔がいろんな意味で後始末をして行ったコトを。
それが孝輔の手当のおかげだと気づいたら、なんだか癪にさわった。
(誰も頼んでねーんだよ、くそっ!)
ベッドに座ったまま声には出さず悪態をついていたら、ドアがノックされたのと同時に開いた。
「奏多、起きてる?」
「…起きてる…」
(つーか、開けるの早いだろっ!)
ドアを半分開けて、そこからパンツスーツ姿(仕事着)のオカンが顔を出した。