Novel Library 4

□Symmetry vol.7
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  『 SymmetryF 』


 昨日、夢を見た。
 先輩と出会った、あの夏の日の夢だ。
 どうして今頃そんな夢を見たのかなんて分からない。
 でも懐かしい。俺は、あの日をきっかけに先輩に恋をした。
 めったに見かけるコトのない高等部の先輩の姿を追いながら、日毎想いを募らせて1年以上の日々を過ごしてきた。
 想いが届くなんて思っていなかった。それでもただ先輩の姿を追った。
 好きで、好きで、ただ先輩が好きで。
 絶対に届くはずなんてない想いだった。
 それなのに――
 どうしたわけか俺は今その先輩と並んで歩いている。
 ルキのおかげ≠ネんだか、せい≠ネんだかよく分からないけど、俺はあの日には想像もつかなかったくらい先輩と親しくなれた。
 学校帰りや休日の日に遊びに行った回数はもう2ケタになってる。
 最初は緊張してばかりだった俺だけど、今は先輩と二人でいるコトにもずいぶん慣れたと思う。
 片思いで遠くから見つめるコトしかできなかった頃を思えば、夢を見てるみたいだ。
 
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