「何で…っん、な…触り方…」
耳を吐息で擽り、結有の体の奥をキュンと捩らせた祥悟は耳朶に軽く歯を立ててくる。
「触り方が、何?」
何?と聞かれても答えようがない。
そもそも質問しているのは結有のはずだ。
「それなのに」と思っても、乱れる呼吸のせいで上手く言葉が繫げない。
耳殻を尖らせた舌で舐められて、思わず体が震える。
「ん…や…っ……」
もどかしさに思わず体を捩ると、祥悟の吐息が再び耳に触れる。
「いやか? でも…俺は結有に触りたい」
違う。 触れられるのが嫌なのではなくて、淡すぎる愛撫に切なさが募るのが嫌なだけだ。
もっと明確な性感が欲しかった。
「じゃな…くて、もっと…」
「もっと、何?」
意地悪な質問に結有は閉じていた瞼を上げて祥悟を見たが、そこに神妙な顔つきの祥悟を捉えて揶揄されているわけではないと知った。
かと言って真面目に聞かれたりしたのでは返って答えにくい。
困った結有は、両手を伸ばして祥悟の首に縋りついた。
浮いた背中を腰の方から撫で上げられてビクっと震える。
「結有の形を俺の手に覚えさせてるんだ。 だから、もう少し触ってたい…」
そう言って縋りつく結有の体を抱きしめ、脇腹から腿までを一息に撫でてくるからまた声が漏れた。
本人にそんなつもりは無いらしいが、こんな焦らすような愛撫がまだ続くのかと先を思うと切なさに泣きそうになる。
中途半端に火を点けられた体はどうしよもなく祥悟を求めていた。