「本気で好きなら常識なんて関係ないだろ? どんなコトをしても手に入れたいって思うはずだ。 そうじゃないなら…そんなぬるま湯に浸かったみたいな程度の想いなら恋なんて言えねぇよ」
唇を離したルキが俺の目をジッと見ながら、そう言った。
そうなんだろうか?
恋ってそこまで激しい想いが必要なのか?
どっちかと言えば、それは恋と言うより――。
「それに俺から見たら、ユキに男とつき合う覚悟があるとは思えないしな」
「なんだよ、それ。 なんでルキにそんなコト言われないといけないんだよ」
バカにしたような笑いを浮かべるルキに食って掛かると、ルキは俺を抑え込んだまま耳元に唇を寄せて来た。
耳に掛る吐息に、産毛が立ち上がるような感覚がした。
「じゃあ、覚悟あるワケ? あの人が相手なら、どう考えたってユキが抱かれる方だろ? それともあの人のコト抱きたいとか思ってるワケ?」
「なっ! 抱っ?…」
ルキの問いかけに思わず詰まった。
抱くとか抱かれるとか、そんなコト……。
「考えてなかったとは言わせない。 さっきのユキ、あの人のコトすげぇエロい目で見てたもんな」
「そんなコトないっ!」
即座に否定したら、ルキはまたバカにしたような顔で笑った。
「忘れた? 俺達は隠し事なんてできないって」
「っ」
確かに俺の考えてるコトなんていつもルキには筒抜けで、ルキの考えてるコトだってなんとなく俺には分かる。
だけど、こんな恥かしい欲望まで伝わったりすんのかな?