Novel Library 4

□『 True Love なんて いらない 』 完結12
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「うちはパパが好きだからって、毎回焼肉だよ。 こっちの意見も聞いて欲しいって感じ」

「分かる〜」

「うちは海が近いせいか、お刺身の盛り合わせとすき焼きかな」

「ってか、どれ聞いてもオカンの手抜きじゃないかって気がするよな」

 適当に相槌を打ちながら、結有は思う。

(すき焼きとか焼肉とか刺身って、ちょっと違うよな…ファミリー層じゃない意見が聞きたいんだけど…)

 とは言っても、そんなコトを言おうものなら確実にデートか?≠ニツッコまれそうな気がしたから、仕方なくそのまま黙って聞くコトにする。

「俺んちさ、焼肉派なんだけど−−」

 いつの間にか、すき焼きと焼肉の派閥までできていた。

「必ず一緒に寿司が出るんだよな」

「あ〜、お寿司も定番だね」

 寿司なんて出前以外考えられないだろ、と結有は心の中で一人ツッコミを入れる。
 手料理とは程遠いそれに、結有は意図する質問と皆の答えが大きくズレ始めたコトにため息をついた。

「つか、俺んちのは寿司っても、鮒寿司なんだけどな」

「鮒寿司〜? 無いわ、それ」

「あ〜、聞いたことある。 アレって美味しいの?」

 鮒寿司は結有も食べたコトがない。 一体、どんな味がするのだろうと少し興味が湧く。

「美味いとか不味いとか、よく分んねぇ。 あんなもんだと思って食ってるから」

「俺、食ったコトあるんだけどさ、川とか池の味がするよな」

「どんな味よ、それ?」

 テーブルが爆笑に包まれる。
 確かに川や池の味と言われても想像がつかない。
 
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