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□『 Cultural festival 〜折園シリーズ番外編〜 』 6
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 そっぽを向いたままふて腐れたようにそう言った折口が愛しくて、でもそれを素直に口にするのはどこか照れくさくて、俺は笑い過ぎて目尻に溜まった涙を指で拭きながら折口の背中に自分の背中をくっつけて背中合わせに立ってみた。

「そんなコトねぇよ。 俺も信じない派だったけど…折口が信じるなら俺も宗旨変えしてもいいかな」

「信じるっていうか……そうなればいいなって、いわゆる希望的観測ってヤツだぞ」

 そうなればいいな…か。
 そうだな。 ホントにそうなればいい。
 俺はあのジンクスを聞いた時、笑っちまったけど、好きな人とずっと一緒にいたいって気持ちは皆同じなんだな。
 そう思えば、夢くらいみようと言った後輩の言葉を笑った俺は、恋心の分からない野暮天だってコトか。
 でも、自分に置き換えてみれば、信憑性の無いジンクスに願いを込める気持ちがものすごくよく分かってしまうわけだから、我ながら現金だ。

「……俺さ、すげぇ嫉妬深いだろ?」

 少しの沈黙の後、唐突に切り出されて思わず振り返ったら、折口の肩しか見えない。
 でも背中越しの振動が、折口の躊躇いがちな声を直接伝えて来るようで、何となくどんな表情をしているのか分かった。

「今日ので完璧バレたよな」

 いや、そんなの前から知ってる。
 とか思ったけど、気まり悪そうな口調のくせに折口の声が妙に真剣で、とても口には出せなかった。

「なんか、カッコ悪ぃよな…」

「そんなコトねぇよ」

 それは俺の本心だ。 折口が妬いてくれるのは、俺もちょっと嬉しかったりするんだから。
 折口みたいなヤツでも自分にダメだと思う所があったり不甲斐無さを感じるなんて驚かないでもないけど、そういう弱い部分を見せてもらえるのは信頼されてるからなんだと思えて嬉しい。

「俺のコト、嫌いになってねぇ?」

 聞いたことの無いような折口の自信無さ気な声に堪らなくなる。
 その声が切なくて、それでいて呆れるし、溢れるくらいの愛しさも感じるしと目まぐるしい感情に突き動かされた俺はくるりと向きを変えて、背中から折口をギュッと抱きしめた。
 驚いたみたいに揺れた肩に額をぐりぐりと押し付けてやる。
 
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