Novel Library 4

□『 Cultural festival 〜折園シリーズ番外編〜 』 6
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「それで…折口はなんて答えたんだよ?」

 折口はチラッと俺に視線を向けた後、興味無さそうに呟いた。

「そんなの園田を見てれば判るでしょう≠チて言った」

 想像していた答えのどれでもない折口の答えに?マークを思い浮かべた後、思わずツッコんだ。

「なんだそれ! 俺なんか見て何が分かるっつーんだよ?」

「アイツには分かったんだろ? だからすんなり出てったんじゃねぇの」

 一体、何がどう先輩は分かったって言うんだ。
 だいたい折口が俺の何なのか≠チて俺を見てたら分かるなんて、そんなの答えにならないだろ?
 そんな頓知みたいな答え方をする折口もどうかと思うけど、それで納得する先輩もどうなんだよ。

「俺には意味が分かんねぇ…」

 口を尖らせて文句を言うと、折口は俺を見て一つため息を吐いた。
 なんかムカつく、その態度。

「百人一首…」

「ハ?」

 ポツリと言った折口の言葉に思わず間抜けな声が上がる。
 今、百人一首って言った?

「しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思うと 人の問うまで 知ってるだろ? 分かりやすく言ったら、この歌と同じだな」

「?」

 有名な歌だから俺だってこれくらいは知ってる。
 恋の歌だよな。
 確か現代語訳は心に秘めて来たけど、いつの間にか顔や表情に出ていたようだ。「恋の想いごとでもしているのですか」と人に尋ねられるまでに=\―って…え?
 
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