「それで…折口はなんて答えたんだよ?」
折口はチラッと俺に視線を向けた後、興味無さそうに呟いた。
「そんなの園田を見てれば判るでしょう≠チて言った」
想像していた答えのどれでもない折口の答えに?マークを思い浮かべた後、思わずツッコんだ。
「なんだそれ! 俺なんか見て何が分かるっつーんだよ?」
「アイツには分かったんだろ? だからすんなり出てったんじゃねぇの」
一体、何がどう先輩は分かったって言うんだ。
だいたい折口が俺の何なのか≠チて俺を見てたら分かるなんて、そんなの答えにならないだろ?
そんな頓知みたいな答え方をする折口もどうかと思うけど、それで納得する先輩もどうなんだよ。
「俺には意味が分かんねぇ…」
口を尖らせて文句を言うと、折口は俺を見て一つため息を吐いた。
なんかムカつく、その態度。
「百人一首…」
「ハ?」
ポツリと言った折口の言葉に思わず間抜けな声が上がる。
今、百人一首って言った?
「しのぶれど 色に出でにけり わが恋は ものや思うと 人の問うまで 知ってるだろ? 分かりやすく言ったら、この歌と同じだな」
「?」
有名な歌だから俺だってこれくらいは知ってる。
恋の歌だよな。
確か現代語訳は心に秘めて来たけど、いつの間にか顔や表情に出ていたようだ。「恋の想いごとでもしているのですか」と人に尋ねられるまでに=\―って…え?