Novel Library 4

□『 Cultural festival 〜折園シリーズ番外編〜 』 2
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「これ、マジでヤバいな」

「凶器以外の何物でもないっすよね」

 目を細めて「ホントだな」と笑う先輩に俺も笑い返す。
 先輩のこういう所はマジで優しいと思う。
 これが折口なら笑い転げた後に、全部自分で食えって言いそうな気がする。

「岩井先輩って優しいっすね。 そういう所が女子にモテる秘訣なのかなぁ。 俺も見習おう」

 冷や汗かカプサイシン効果か、よく分からない汗をかきながら必死に凶悪な物体をやっつけてる俺達の横で、後輩が暢気にそう言った。
 優しさを学びたいなら、まずこのおかしな大当たりが学級会議で提案された時点で止めるくらいの気持ちを持てよ。
 このクラス、絶対バカしかいないな。

「別にモテてねぇよ。 だいたい誰にでも優しいって訳じゃないしな、俺」

 え?
 今、聞き捨てならないセリフが聞こえたような気がしたけど…。

「いやいや、モテてるじゃないっすか。 先輩、1年女子にも人気っすよ」

 後輩は全然違うところに食いついたから先輩の言葉の真意は確かめられなかったけど、ものすごく意味深なセリフだったような…俺の考え過ぎか?

「先輩と一緒にファイヤーストーム見たいって子、かなりいますよ。 紹介しましょうか?」

「いらねぇよ」

 うちの学校は文化祭の最終日の夜の後夜祭に、校庭でファイヤーストームをするのが習わしだ。
 キャンプとかでやる、丸太を組んだアレだ。

「ファイヤーストームなんか、一緒に見てどうすんだよ」

 あんなのただの焚火だろ?
 それを囲んでフォークダンスとか、今時マジありえねぇ。
 うちの学校、やるコトがアナクロいんだよな。

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