「いーんじゃね? そういう結有の方が親しみ感じるし。 で? お前の彼女ってどんな子? どのくらいつき合ってんの?」
そう聞かれても答えようがないが、答えないのも不味いような気がして、結有は考え考え当たり障りのない程度で答える。
「もうそろそろ3か月くらいになるんだけど…。 年上で、優しくて…結構、美形かな?」
「年上? マジかよ、いーなぁ、美人のお姉様かよ」
実際には美形のお兄様なんだけれど。
これ以上、ツッコんだ質問をされないうちに話を切り上げようと結有が口を開きかけた時、友人の「でもさ」という言葉にそれを止められた。
「3か月くらいだと、そろそろ相手の嫌な所も見えて来るんじゃねぇの?」
「嫌な所?」
祥悟に嫌な所なんてあっただろうか?
思いがけない言葉に首を傾げたが、何も思い当たらない。
強いて言えば、すぐに恥ずかしいコトを仕掛けてきたり、言わせようとしたりしてくるコトくらいだろうか?
それだって、結有が本気で嫌がるようなコトをされた記憶はない。
つまりは祥悟の意地悪は結有にとっては十分 許容範囲で、それを甘んじて受け入れているのだから、二人は明らかな共犯関係にあるというコトだ。
そう言った意味では、それは嫌な所には入らないだろう。
もっとも、死にたくなるほど恥かしいコトをさせれられる時は、本気で祥悟に腹を立てている結有なのだけれど。
「別に…無いけど?」
「マジで? かぁ〜、MAXラブラブかよ」
「なんだよ、それ」
羨ましいというよりは、呆れたように呟く友人に向かって結有が口を尖らせると溜息まで吐かれた。
「否定しないから、余計ムカつくな」
「素直に羨ましいって言えよ」
「ハイハイ、どうせ俺は独り身だよ。 くそ、クリスマスまでには絶対に彼女作ってやる!」