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□『 True Love なんて いらない 』 完結11
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8.
「結有、なんかいいコトあった?」

 最後の講義が終わった後、来週のゼミに休講があると聞いて掲示板を確認しに行った時だった。
 一緒に掲示板を見に行った友人にいきなりそんなコトを聞かれ、結有はきょとんとした顔を彼に向ける。
 その顔を見て友人は慌てたように手を振った。

「いや、違うんならいいんだ。 たださ、なんていうのか夏休み明けに会ったら、お前 以前と雰囲気違ってたからさ。 彼女でもできたんかな?って−−」

 できたのは彼女≠ナはないが、間違ってはいない友人の指摘に結有は一気に顔の熱が上昇するのを感じた。
 その様子を見ていた友人も、一瞬目を瞠った後に「あぁ…」と一声上げて合点したようだ。

「そっか、やっぱな」

 友人の態度に、染まった顔が更に赤面する。

「う…ん…つか、そんなに変わった? 俺…」

 顔の火照りを誤魔化すように、視線を泳がせながら聞いてみた。
 こんな質問をされた程度で赤くなる自分が恥かしくて、友人の目を見て話すなんてできなかった。

「ん、変わったな。 前はさ、どっか一歩引いてるって言うか、感情を出さないようにセーブしてるように見えたけど、今は感情ダダ漏れよ、お前」

「マジで!?」

「うん。 そんな赤面づらもさ、前は見せたこと無いじゃん。 1年の頃はクールな奴なんかなって思ってたけど、そうじゃなくて意識して喜怒哀楽を抑えてる奴なんだって、だんだん分かって来て……でも、最近はなんか−−」

「なんか?」

「いつもニヤついてる…」

「!」

 思わず口許を隠すように手で覆うと、友人はそれを見て笑う。
 
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