Novel Library 3

□夜空に咲く花
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 うーん。それを言われると…
 なんだかんだ言っても、姉ちゃんが俺のために選んでくれたってのもあるから、一度くらいはって気もなくはないし…でもなぁ……

「お、いたいた」

 グズグズと返事を渋っていたら、依田が教室からひょっこり顔を出した。

「なぁ、今週末のS海岸の花火大会さ、バレー部の1,2年で行くコトになったんだけど」

 今週末のS海岸の花火大会?
 それって、今、折口が誘ってきたのと同じじゃないのか?
 そう思った直後、折口が本気で嫌そうな顔をしながら舌打ちした。
 あまりにも露骨な態度にびっくりして、つい折口の背中をグーで殴る。

「っ……」

 幸いにも普段からあまり物事を気にかけない依田は、まったく感情を隠そうとしない折口には気がつかなかったらしくホッとした。
 何か言いたげに折口が睨んで来たけど無視する。
 折口は時々、というか主に俺と他の奴との絡みに関してだけど、妙に子供っぽい態度を取るからめんどくさい。

「お前らも参加する――」

「行かない。予定ある」

「ちょっ!」

 今度は電光石火の返しかよ。依田が全部を言い終わる前に即答しやがった。まったく取りつく島もないって、こういうのを言うんだな。

「ふーん、そっか。じゃ、園田は?行くだろ?」

 ホントに気にもしない依田は、あっさりと引き下がると俺の方を向く。

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