Novel Library 3

□『 SLOW LOVE 』 vol.12
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「こんな可愛い圭、初めてだね。 これが本当の圭なの?」

 確かに千早の前ではずっと遊んでるフリをしていたけど、俺だって自分がここまで可愛らしくなるなんて思わなかった。
 フラれてばかりだったけど元々尻軽だし、それなりに恋愛経験値は積んでるはずだ。
 なのに千早の前だと、どうしてもペースを乱されてしまう。
 自分にこんな一面があったコトに、自分が一番驚いてる。
 そのせいか、口調がなんだか拗ねてしまう。

「俺が可愛くしたって、気持ち悪いだろ?」

「まさか、すごく可愛いよ。 今まで見てきた圭も可愛かったけど、今の圭は、何だろう…ちょっと苛めたくなる感じ…」

「千早が意地悪なのは今に始まったコトじゃないじゃん」

「そんなの、圭にだけだよ」

 笑いながら耳朶に噛みつかれた。

「つっ…」

 軽い痛みに肩を竦めると耳の下を強く吸われて、また声を上げそうになった。
 どうやら関係が変わっても、意地悪な千早は健在らしい。

「やっぱり千早はSっ気あるよな」

「その方がいいなら、そうするけど?」

 苛められるのが嫌なのはもちろんだったが、そういう意味ではなく千早の腕の中で首を振った。

「普通のがいい…」

 俺の呟きに、耳元で千早の声が「普通?」と聞き返してきた。

「普通の…セックスを楽しむんじゃなくて、千早の存在を感じながら…一つになりたい……って言うか、俺何言ってるんだ。 ヤバい、ちょっと変になってる。 柄じゃねぇ。 ごめん、忘れてくれ」

 自分の変貌ぶりに自分で驚いて、慌てて前言を否定したらくるりと体を反転させられた。 そのままギュッと抱きしめられる。

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