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「やっぱり寝室も綺麗にしてるんだな」
最もプライベート性の高い寝室に千早を招き入れると、リビング同様 部屋の中をグルリと見回しながら呟かれた。
考えてみれば、寝室に誰かを入れるのは初めてだと気がついた。
過去につき合ってきた男達の時は、いつも相手の部屋に押しかけてばかりいて自分の部屋に招いたコトなんてなかったからな。
そう思ったら、この空間に千早がいるコトにどうしようもなく緊張してきた。
自分の部屋だと言うのに、なんでこんなに固くならないといけないんだ。
ベッドを前にして動けなくなった俺の肩に千早の手が触れた。
その存在感に緊張は更に増して、動けないまま俯くと千早の腕がゆっくりと俺を抱きしめてくる。
「緊張してる?」
「……」
「実は俺も緊張してるんだ。 もう何度もセックスしてるのに不思議だよね」
耳の後ろから囁かれて余計に顔が上げられなくなった。
ホントに何度も抱き合ってるはずなのに、なんでこんなに恥ずかしいんだ。
「っん…」
抱きしめられたまま、耳に唇を寄せられて思わず声が出そうになる。
「やっと圭の全部が俺のものになるんだと思ったら、すごくドキドキするよ。 心臓の音伝わってる?」
背中に千早の胸を押し付けられたら、俺の方が心拍数を上げてしまうだろ。
早いリズムの鼓動は俺のものなのか千早のものなのか、まったく判断がつかない。
「今日は無口だね。 さっきから俺ばかり話してる」
「…だって、緊張し過ぎて何を言ったらいいか、分からない」
緩く耳を食みながら、千早が笑うのを感じた。