「ベッドならいいってコト?」
「そうじゃなくて…今日の千早、なんか…変だぞ」
「だから、そうさせてるのは圭だって言ってるだろ」
意味が分からない。
千早は時々こんな風に俺のせいにするけど、いつも俺には千早の真意が理解できなかった。
ただ抱きたいから、そんな風に言うのだとしか思えなかった。
今だってそうだ。
「やりたい≠チてだけだろ? 俺のせいにするな」
「そうだな、圭を抱きたいって思ってるのは確かだ。 分かってるなら、それでいいだろ?」
「千早っ!」
再び俺の体を抑え込んで唇を合わせてくる。
だけど、今度はすぐに離れて耳の下に口づけられた。 柔らかい吐息と軽い疼痛を感じて背中に震えが走る。
「ふっ…」
感じるコトを拒んで体に力を入れると、その隙をついてネクタイが抜かれる。
それも無造作に足元へ落とすと、ワイシャツの上から乳首を抓まれた。
「ん…」
痛いくらいの刺激に千早の胸を押し返しながら頭を垂れて背中を丸めると、項をべろりと舐められて背中を駆けのぼる疼きに立っているのがやっとになる。
千早には俺の弱い所をすべて知られている。 的確に、拒めなくなるまで俺を追い詰めてくる。
「千早…ダメ、だ…」
「だから、どうして? 俺は圭を抱きたい」
どうして抱かれたくないのか、なんて今の俺には感情の整理がつかなくて分からない。
分からないから答えられなかった。