Novel Library 3

□『 SLOW LOVE 』 vol. 6
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 『 SLOW LOVE  vol.6 』

××××××××

「相沢くん、顔色悪いけど大丈夫?」

 モニター上の入庫部品と、左手に持った今日の納品予定表を見比べながら納品状況を確認していたら、同期の女子社員にいきなり顔をのぞき込まれた。
 確か営業部の梶田…だったっけ?

「な、何?」

「顔色悪いよって言ったの。 最近、いつも疲れてるみたいじゃない?」

「そ、そうかな?」

 思わず手で頬を擦りながら聞き返すと、真顔で頷かれた。
 確かにこのところ、よく眠れない日が続いている。
 睡眠不足の上に食欲も落ちてるから、昨日も昼休憩を一緒にした多田さんから「ゴールデンウィークも始まってないのに夏バテか?」とからかわれたところだ。

「年度が替わったばかりで忙しいのは分かるけど、ちゃんと休んだ方がいいんじゃない? 聞いたよ、やたら休日出勤してるって」

「この時期は仕方ないだろ? 上半期の計画表は全部今月中に出さなきゃならないんだし」

 一旦、椅子ごとモニターから離れると背筋を反るように伸びをして、ついでに首をぐるりと回した。
 首の凝り固まった筋肉がゴキュゴキュと嫌な音を立てるのを聞いて、相当コリが悪化しているコトに気づく。
 同じくコリで固くなった肩を指で指圧すると、梶田が肩を揉んでくれた。

「まぁね、ゴールデンウィークに出勤しないためには今頑張るしかないんだけど…って、相沢くん、肩のコリかなりひどいよ」

「うぅ〜、痛いけど気持ちいい…とにかくさ、今月いっぱいは激務覚悟でやるしかないよな」

「かなぁ…でも、休む時に休まないと効率下がるし、体に悪いよ?」

「金言至極。 ありがとな、肝に命じておくよ」

 振り返り、背後に立つ梶田に笑いかけると、いきなり背中をバシンと平手でたたかれた。

「やぁね、相沢くんってチャラいくせに言うコトはジジ臭いんだから。 ちょっと見てて心配になっただけよ」

 梶田は少し慌てたように言い残すと、そそくさと営業部の方へ戻って行った。
 
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