Novel Library 3

□『 Symmetry 』 vol. 3
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 男相手に こんなストーカーまがいの恋をしてる俺を知ったら、自由奔放で好き勝手やってるルキでもさすがに引くだろうと思うとどうしても話せないんだ。
 だからと言って、こんな普通じゃないコトをルキ以外の誰かに相談なんてできるワケもないし、結果、俺は誰にも言えない秘密の片想いをただひっそりと続けている。
 同性を好きになる自分を不安に思って、自分なりに本やネットで調べたりもした。 その時に目にした通りこんな気持ちは思春期の一過性の気の迷い≠ナ、すぐに目が覚めるかもしれないという考えももちろん無くは無い。
 でもあの日、先輩に抱きしめられる夢を見た時、それが自分の願望だと気づいちゃったんだ。
 その直後にルキにあんなコトをされて、そのせいで俺は逃げようのないくらいハッキリと自分の中の本当の願いを自覚させられた。
 俺はルキにされたようなコトを…いや、それ以上のコトを先輩としたいと思ってるって。
 そう気づいたら、ルキがあんなコトをしたのは俺の中のエッチな願望を見透かしてのコトなんじゃないのかって気がして、ルキの顔が見られなくなった。
 他の誰にも分ってもらえないかもしれないけど、俺はルキに嫌われるのだけは嫌なんだ。
 ルキに嫌われるのは、俺にとって自分に嫌われるのと同じコトなんだってそう思う。
 そのくらい、ルキと俺は特別な関係≠ネのかもしれない。
 だからこそ、ルキには知られたくない。
 そう思っているのに、一方でルキに隠し事を続けるのもしんどくて、もういっそ何もかも話してしまおうかと思ってしまう時がある。
 ルキと真正面で向き合って問い詰められたら、多分俺は洗いざらい話してしまうような気がする。
 そうしてしまいたいと思う気持ちと、知られたくない気持ちが俺の中で今日も激しくせめぎ合ってる。
 夏休みに入ってからは、あからさまにルキを避けているコトもあって、俺の悩みは大きくなるばかりだ。
 そのせいで最近は夜もよく眠れない。
 手にした本のページををパラパラとめくる。
 目に映る活字を追っても、内容は少しも頭に入っては来なかった。


××××××××

「……」

 ここ…どこだっけ?
 つか、俺って何してたんだっけ?
 気づいた時、自分の置かれている状況が良く理解できなかった。
 ぼんやりとしたまま瞬きを繰り返して、そこが図書館だと思い出す。
 俺、寝てた?
 いつのまにか読んでいたはずの本を抱えた膝の上にのせて、書棚と書棚の隙間にはまり込んだまま居眠りしていたらしい。
 なんつう恰好で寝てたんだ、俺。
 立ち上がって辺りを見回したけど、相変わらず人の姿は無かった。
 とりあえずマヌケな恰好で居眠りする姿は誰にも見られずに済んだみたいだ。

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