Novel Library 3

□『 Symmetry 』 vol. 3
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『 Symmetry 』 vol.3


「おはよ…」

 寝惚け眼のルキがリビングに顔を出した時、兄貴と俺はダイニングで朝飯を食っていた。

「はよ。 なぁ、ルキ、パンあと1枚っきゃねぇけど、お前足りる?」

「んぁ? 1枚で十分だよ」

 パジャマ代わりのTシャツの中に手を突っ込んで肩の辺りを掻きながら兄貴と話すルキから視線を外すと、俺はサラダと残りのパンを口に放り込んで咀嚼する。
 そうしてルキがテーブルに着くより先に立ち上がりシンクで自分の使った皿やなんかを洗い出す。
 共働きの両親の方針で、うちは自分の使った食器は自分で洗うのがルールだ。

「兄貴は今日も出掛けんの?」

「ん? 今日はバイトもないし、ベル鳴んない限りはうちにいる」

 兄貴と話しながらルキがテーブルに着くのを目の端で確認してからリビングに移動する。
 ソファの上に用意してあったショルダーバックを手に取ろうとした時、後ろからルキに声を掛けられドキリとした。

「ユキ、お前は今日――」

「図書館行って来る!」

 問いかけに返事をするというよりは大きな独り言のように言い放って、伸ばしかけた手でバックを掴むと急ぎ足でリビングを出た。
 はぁ、緊張した。
 ルキとまともに口をきかなくなって2週間近くが過ぎてる。
 今までベッタリだった俺達がまったく口をきかなかったりしたら、兄貴や親たちが不審に思うんじゃないかって俺なりに考えた。
 だからルキと接触する時間をできる限り減らそうと、こうやって起きる時間や飯の時間なんかを極力ずらしてるんだけど、気を使うあまりにものすごく緊張する。
 今のところ、家族は気にしてないみたいだけど。
 そんなコトをしてるうちに夏休みも始まって、連日ルキと顔を合わせて過ごすのが嫌だから俺は毎朝 学校の図書館へ向かい開館時間の9時から閉館時間の5時まで過ごすのが日課になってる。
 私大付属のうちの学校の図書館は二つある。 一つは大学併設の図書館で、大学構内と中等部・高等部の敷地の間に建ってるかなり大きなものだ。 そこはものすごく広くて蔵書の量もハンパないし、AVブースや自習室もあるしカフェテリアもあるから、一日中いても飽きるコトなく過ごせる。
 もう一つは中等部と高等部専用の小規模なもので、図書館と名は付いているものの図書室と言った風情の狭いものだ。 建物も古くこじんまりとしているせいか いつ行っても閑散としている。

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