促されるように舌の側面を舐められる。
要望通りに舌を伸ばすと、絡め取られ吸われた。
本格的なキスになりそうな予感に拓の手が香月の肩を掴むと、その手を取られ より深く唇が押し付けられる。
このままだと流されてしまいそうだ。
香月のキスの心地よさに、つい引きずり込まれそうになった時だった。
抱えるように曲げた膝の間に香月の手が入り込み内腿を這うように撫でられて、慌てた拓はその手を掴むと両足で思いっ切り香月の体を押し返す。
「なんか…すごい拒否られ方されてる気がする…」
不満そうな口調ではあるが、口許には余裕の笑みが浮かんでいるのが癪に障る。
「帰って来ていきなり こういうコトするのヤメろよ」
「なんで? 俺は今すぐ拓とシたいんだけど」
言いながら押し返す足を掴まれた。
次に何をされるか大方の予想がついたから、あわてて足を引こうとしたが香月の方が僅かに早く掴んだ足の裏から指の間に舌を這わせてきた。
「ちょっ、待った。 裕人、そこダメっ! くすぐったいっ」
拓は足をバタつかせながら、ソファの肘掛にしがみつくようにして香月の舌から逃れようとしたが、逃げるのに必死で盲滅法に体をずり上げた途端ソファから落ちた。
「痛った…」
「大丈夫?」
声を掛けては来るものの、その声が笑いを堪えているせいで僅かに震えているから腹が立つ。
「裕人がそんなとこ舐めるからだろ。 俺が足の裏 触られんの苦手だって知ってるくせに」
フローリングの上で体を起こしながら睨みつけると、香月は口許に笑みを浮かべながら拓に手を差し出してくる。
その手を掴むと、ぐいっと引き寄せられ香月の隣に座らされた。
上半身はアッという間に香月の腕の中だ。
相変わらず翻弄されている、と悔しくなる。