Novel Library 3

□『 True Love なんて いらない 』完結7
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(狭い世界だし、合コンなんてやったら半数が関係者になっちゃうよな)

 自分の馬鹿馬鹿しい考えを笑いながら歩いていると、前から何人かの女の子達が歩いてくる。

「絶対に彼女のお迎えだよ」

「え〜いいなぁ。 あんなカッコイイ人なら自慢だよね?」

「そりゃそうでしょ。 見せびらかすために迎えに来てもらってるんじゃない?」

 どうやら女子学生を迎えに、その彼氏とおぼしき男が正門で待っているらしい。
 時々そうした光景が見られるが大抵の場合、その彼氏は他の女子学生からはかなり低く値踏みされるのが常だ。
 けれど今すれ違った女の子達はどこの誰の彼氏かも分からない男を称賛していた。
 これはよほどの良い男らしいと、結有はほんの少し興味を持つ。

「やっぱり社会人よね。 学生にはない大人の魅力って言うか」

「分かる、分かる」

 キャアキャアと喧しい女の子達の声はすれ違った後も続いている。
 結有はそれを聞き流しながら正門へ向かった。
 彼女たちと自分の好みが合致するかは分からないが、いい男を眺めて損は無いくらいの軽い気持ちで歩いていくと、正門から振り返り、振り返り、歩いてくる何人もの女の子とすれ違う。
 どうやら件の男はまだ正門にいるらしい。
 少し遠目ではあるが、結有が視線をそちらへ向けるとスーツ姿の男の背中が見えた。
 近づくにつれ、その男が長身でかなりスタイルがいいコトが分かった。

(後ろ姿はかなりだよな。 あの子達が騒ぐのも無理ない)

 これは顔も期待できるかも。 そんな卑俗なコトを考えながら結有が男に近づいた時、不意に男が振り返る。
 思わず結有は足を止めた。
 切れ長の二重に細い鼻梁。 どこか外国人めいた整った顔立ちは、いつもと違い前髪をかき上げるようにしてセットされた長めの黒髪に縁どられ、いつも以上に精悍で男臭さを感じさせている。
 絵になるくらいの立ち姿と笑顔に、結有は驚きのあまり瞬間 息をするのを忘れた。
 
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