『 The First… 〜 折園ファイナル 〜 』
折口(16)× 園田(16)
らしくないコトをしたと思った。
春休み中の部活が終り、今日から始業式まで何の予定も無い。
ホントは依田や田淵なんかと遊ぶ約束をしてたけど、今のところメールもないし、俺からもメールしてない。
というか、そんな気になれなかった。
ベッドの上で天井を見上げながら、昨日 自分がしでかしたコトを朝からずっと反芻していた。
考えれば考えるほど、自分のとった行動にへこむ。
いくら折口への気持ちに気づいた直後に失恋したからって、あまりにも らしくないコトをしたとしか言いようがない。
折口から何にも聞きたくないからって、キスで言葉を遮るってどうなんだよ?
明らかに俺のキャラじゃないだろ?
つーか、アレがファーストキスだったなんて…言えるわけがない。
不意に折口の唇の感触を思い出してしまい、俺はベッドの上で寝返りを打ち、どうしようもなく赤くなった顔を枕に埋めて隠した。
「う゛―っ」
これで、ますます折口と顔を合わせたくなくなった。
折口はどう思っただろう?
ずっと折口の気持ちを拒否し続けて、挙句 他の女とつき合うよう勧めて、言う通りにしたら いきなりキスしてくる男。
どう考えても人格破綻者としか思えないよな。
当の本人の俺でさえ、そう思うんだから。
きっと呆れただろうな。
でも、それでいいのかな。
折口にしてみれば俺の気持ちは今更すぎるだろうし、行動はあまりにも身勝手で自己中だ。
川野とつき合うコトにしたんだから、俺のコトを嫌いになれて ちょうどいいのかもしれないけどさ。
でも俺はどうなるんだろう?
「あ、でも…とりあえずファーストキスは好きな奴とできたんだな……」
言ってて急に虚しくなった。