Novel Library 3

□『 The First… 〜折園ファイナル〜 vol.1 』
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 『 The First…  〜 折園ファイナル 〜 』

 折口(16)× 園田(16)


 らしくないコトをしたと思った。
 
 春休み中の部活が終り、今日から始業式まで何の予定も無い。
 ホントは依田や田淵なんかと遊ぶ約束をしてたけど、今のところメールもないし、俺からもメールしてない。
 というか、そんな気になれなかった。
 ベッドの上で天井を見上げながら、昨日 自分がしでかしたコトを朝からずっと反芻していた。
 考えれば考えるほど、自分のとった行動にへこむ。
 いくら折口への気持ちに気づいた直後に失恋したからって、あまりにも らしくないコトをしたとしか言いようがない。
 折口から何にも聞きたくないからって、キスで言葉を遮るってどうなんだよ?
 明らかに俺のキャラじゃないだろ?
 つーか、アレがファーストキスだったなんて…言えるわけがない。
 不意に折口の唇の感触を思い出してしまい、俺はベッドの上で寝返りを打ち、どうしようもなく赤くなった顔を枕に埋めて隠した。

「う゛―っ」

 これで、ますます折口と顔を合わせたくなくなった。
 折口はどう思っただろう?
 ずっと折口の気持ちを拒否し続けて、挙句 他の女とつき合うよう勧めて、言う通りにしたら いきなりキスしてくる男。
 どう考えても人格破綻者としか思えないよな。
 当の本人の俺でさえ、そう思うんだから。
 きっと呆れただろうな。
 でも、それでいいのかな。
 折口にしてみれば俺の気持ちは今更すぎるだろうし、行動はあまりにも身勝手で自己中だ。
 川野とつき合うコトにしたんだから、俺のコトを嫌いになれて ちょうどいいのかもしれないけどさ。
 でも俺はどうなるんだろう?

「あ、でも…とりあえずファーストキスは好きな奴とできたんだな……」

 言ってて急に虚しくなった。

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