『 体育倉庫 〜 園田の逆襲 〜 』
折口(16)× 園田(16)
昨日、折口とケンカした。
いや、実際にはケンカにもならなかった。
俺が一方的に折口に当たり散らして、折口はごめん≠ニいう言葉を残して帰って行っただけだ。
バレー部の練習に参加するために学校に向かいながら、俺は昨日のコトを考え続けていた。
どうしてあんな風になってしまったのか?
冷静になって考えみれば、折口と川野のコトは俺には無関係のはずなのに、どうしてあんなに腹が立ったのか?
それは多分、折口が俺のコトを好きだと言ったからだ。
俺に好きだと言っておいて、あんなエロいコトまでしてきておいて、そのくせ川野をはっきりと拒まない折口に腹が立ったんだ。
もしかして、これは嫉妬なのか?
嫉妬≠ニいう言葉に、思わずエナメルバッグの肩紐をギュッと握った。
嫉妬するっていうコトは、もしかして俺は――
「折口のコトが、好……好………って、んなワケあるかっ!」
つい叫んでしまった俺の横を通り過ぎ様に、小学生二人がビクッと怯えて振り返った。
思わず愛想笑いで誤魔化そうとしたけど、返って怖がらせたのか二人は顔を見合わせ猛ダッシュで走り去って行った。
俺、完全に不審者じゃん。
ため息を一つ吐いて、また学校へ向かって歩き出す。
折口と川野のコトが気になるからといって、俺が折口を好きなんだと結論付けるのは短絡過ぎると思った。
少なくとも俺は今まで折口のコトを、そういう目で見たコトはない。
はずだ…多分。
それじゃ、どうして嫉妬なんかするんだ?と、自分に聞いてみる。
考えられるのは3つ。
1、自分が一人身なのに、周りでイチャイチャされるのがムカつくから。
2、実は川野のコトが好きだった。
3、折口のエロテクニックが忘れられない。
「……」