「なぁ、園田。 ホントの所どうなんだよ。 折口と川野って付き合ってんの?」
「なんで俺に聞くんだよ」
依田達の質問に俺は興味無さ気に応えた。
「だって、お前 折口と仲いーじゃん。 なんか聞いてんだろ?」
「知らねーよ」
それは嘘じゃなかった。
真冬の屋上で昼飯食ってる時に、折口がガチホモじゃないコトは聞いた。
折口のホモ心を刺激すんのは、俺だけらしいってコトも。
だから逆に言ったら、折口が川野とだって付き合える可能性があるコトも判った。
でも、それだけだ。
折口は川野とのコトは何も言わないし、俺も聞かない。
よって、俺は何も知らない。
判ってるコトなんて ナノサイズのチャンスにかける田淵には、きっと望みはないというコトだけだ。
可哀そうにな、田淵。
「でもさ、もし付き合ってんだとしたら、毎日 川野が持って来る差し入れを断ったりしねーだろ?」
依田の言葉に、俺は少なからず驚いた。
川野が毎日 差し入れ持ってきてるなんて 知らなかった。
「それ、マジな話?」
「何、園田 知らなかったの?」
知らなかった。
「ほら、練習終わった後にさ…って、そっか、お前ってば いっつも率先して体育倉庫にモップ取りに行ってるから見たコト無いんだ。 毎日、UP直後に何か渡してるぜ。 まぁ、折口は毎回断ってるけどな」
ホントに知らなかった。