Novel Library 3

□『 True Love なんて いらない 』完結6
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 ルームライトの僅かな灯りの中で結有はボタンを外し自らシャツを脱いだ。 次いでその下に着ていたTシャツを脱ぎ捨てたところで、肩を掴まれベッドに引き倒された。
 着痩せするらしい祥悟の厚い胸板に視線を這わせながら、できるだけ酷く抱いて欲しいと願う。
 目を閉じてすら網膜に焼きついたように思い出される太一と、その恋人の姿を忘れさせてくれるなら何をされてもいいと思った。

「お前は本当にバカだな…」

 何度も言われたセリフだけれど、今までに無く優しい口調に涙が出そうになる。
 そんなものはいらない。
 今、結有が欲しいのは悲しいという感情を消し去ってなお余りある、痛みや辛さだけだ。
 だから優しくなんてして欲しいとは思わない。

「バカでも何でもいいよ」

 そう言って祥悟の首に腕を回し、唇を寄せる。
 背中と頭の後ろに宛がわれた手に掬い上げられるように抱きしめられて唇が合わさる。
 柔らかさと同時に労わるような感触を感じた。
 想像していたのとは違う甘いキスに眉根を寄せた結有の脳裏を、以前 祥悟から言われた言葉が過った。

(俺は好きな子しか抱かないから)

 好きな子しか抱いたコトのない祥悟だから、こんな甘いキスしか与えたコトがないんだろう。
 結有が欲しいのはもっと荒々しく奪うようなキスだ。
 こんな、大切な恋人にするようなキスじゃない。
 それでも…と結有は思う。
 好きな子しか抱かないはずの祥悟は今、結有を抱こうとしている。
 それは結有が太一を忘れるために抱いてくれと頼んだからだ。
 きっと祥悟は、自分が誰を好きかも分からないうちに失恋した結有を、惨めで可哀そうな子供だからと同情でもしたんだろう。
 ほんの少しの罪悪感を感じながらも、結有は何もかも忘れるためにより深く唇を合わせ、祥悟の体にしがみついた。

「めちゃくちゃにして。 俺のコト、好きにしていいから」

 だから、何も考えさせないで欲しい。
 そう願って、もう一度唇を合わせた。
 途端に祥悟の手が荒々しく結有の体を這いまわり、デニムを下着ごと太ももまで引き下ろした。
 
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