『 屋上 〜折口 三たび〜 』
折口(16) × 園田(16)
「寒いっ!!」
2月も終わろうとしている底冷えの空の下で、俺は堪らず呟いた。
塔屋の陰に座っているから多少は風もさけられてるけど、屋外であるコトには変わりがないから どうにも寒さは凌げない。
ここは校舎の最上部。
いわゆる屋上だ。
俺が学校で過ごす時間の中で一番好きな昼休みを、なんでこんな場所で過ごしているのか?
それは俺にも分らない。
だから その疑問を、隣でのほほんとパンを食ってる折口にぶつけてみた。
「なぁ、折口…なんで俺ら こんなトコで昼飯食ってんの?」
俺の質問に折口はパンを口に運ぶのを止めて、呆れたように俺を見た。
「そんな判り切ったコト聞くのか? 園田と二人っきりになりたいからに決まってんだろ」
言いながら俺の左肘に触ろうとするから、肘を大げさに振ってそれを阻止する。
もっとも左手に持つ弁当箱の中身が飛び出さない程度にだけど。
「だからって、この寒空に屋上は無いだろ? 見ろ、箸を持つのも難しいくらい手がかじかんでるじゃねーか」
「じゃ、今度からフォーク持ってこいよ」
俺は 箸の使えない幼児かっ!
だいたい、折口と二人で昼飯食ってる時点で間違ってる。 それも屋上。
「問題 掏り返んなよ」