Novel Library 3

□『 視聴覚室 〜 折口 ふたたび 〜 』 折園シリーズ 2
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 『 視聴覚室 〜 折口 ふたたび 〜 』

   折口(16) × 園田(16)


「お〜い、次の英語 視聴覚室だってさ」

 日直の一声に、俺は思わずラッキー!≠ニ呟いた。
 英語の視聴覚授業は ハッキリ言って楽だ。
 時間中、ずっと資料映像を見るだけなんだからさ。
 英語は特別苦手ではないけど、指された時に皆の前で英文を読むのがどうにも恥ずかしくて嫌だ。
 読めば読むほど日本語英語の発音に、自分が日本人だと思い知らされて 恥かしさが増していく。
 時々すごく流暢な発音で教科書を朗読するヤツがいるけど、それはそれで 他人事ながら恥かしくて笑える。
 そんなわけで通常の英語の授業は羞恥心と笑いのツボとの戦いだったりするから、視聴覚授業は有り難くて仕方ない。 静かにしてれば、それだけで済むんだから。

「園田、一緒に行こうぜ」

「おぅ」

 普段から仲良くしてる田淵に誘われて席を立った時、視線を感じて教室の前方のドアに目を向けると、恐ろしいことに折口と目が合った。
 実は一週間前の雪の日、俺は部活仲間の折口に部室で……れた。
 ……の所は聞かないでもらいたい。
 俺自身、思い出したくない出来事だから、もう忘れることにしたんだ。
 以来、同じクラスで嫌でも毎日顔を合わす上に、部活まで一緒の折口を避けて避けて避けまくってるわけなんだけど、四六時中 ヤツの視線を感じてしまうのが目下の悩みだ。

(頼む、見ないでくれ…)

 ギリギリと音がしそうなぎこちなさで、一度 ヤツの方に向けてしまった首を真っ直ぐ前に戻すと、いきなり田淵が俺の顔をのぞき込んできた。

「園田、熱でもあるのか? 顔 赤いぞ?」

「んなわけあるか!?」

「な、何、怒ってんだよ?」

 お前が変なコト言うからだろ?と、田淵を睨んだ後、俺は足早に教室を後にした。

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