Novel Library 3

□『 雪合戦 』 折園シリーズ 1 
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『 雪合戦 』

  折口(おりぐち)16歳 × 園田(そのだ)16歳


 雪が降った。
 それも けっこうなドカ雪だ。
 この辺りは、そんなに雪の多い地方じゃないけど、2〜3年に一度くらいの割合で 大雪が降ることがあるから、今年が その当たり年なんだろう。
 でもって、俺は今その雪の中を学校へ向かって歩いている。
 バレー部の朝練に行くためなんだけど、学校はもう目前。
 でも、ここまで来て あるコトに気がついた。
 徒歩通学の俺は何も考えずに登校しちゃったけど、電車やバス通学の奴らって 登校できるのか?
 数年に一度の大雪に 交通網マヒしてるに決まってるから、来られないんじゃないのか?
 ってコトは、朝練なんてないじゃないか!
 でも、ここまで来ちゃったしなぁ…今更、帰んのもなんか悔しい。
 よって、俺は強行的にも登校するコトにした。
 誰もいないかもしんないんだけどさ。

「園田ぁ〜」

 いきなり大声で名前を呼ばれて振り返る。
 数十メートル後ろから、同じバレー部の折口が走って来るのが見えた。

「おは。 つか、すんげぇ積もったよな」

 折口は雪の中、走って俺に追いついてきたけど、軽く息が弾む程度で にこやかに笑いかけて来た。
 俺だったら、絶対 息切れしてるぞ。
 これが、レギュラーと補欠の違いかね?

「なぁ 折口、今日って朝練あると思うか?」

「多分 無いんじゃね? 朝練出る奴で徒歩通って俺らだけだろ? ニュース見たけど、バスも電車も止まってたから」

 マジで?

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