Novel Library 3

□『 Symmetry 』 vol. 2
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 夢だと気づいて、甘く幸せな気分はものすごい早さで引いていく。
 残されたのは、全部 夢だと言うのに妙にリアルな息苦しさだけだった。
 何で苦しいのだけは醒めないんだろう?
 胸を締め付けるような、この息苦しさも夢なんじゃなかったのか?
 そう思った時、ようやく気づいた。
 俺の体に絡まっている、見慣れた細い手足に…。

「ルキっ!」

 こいつ、また俺のベッドに潜り込んでる。
 ギュウギュウ締め付けてくるルキの腕と足から逃れた俺は、背中に張り付くように添い寝していたルキを揺さぶり起こした。

「…っだよ、せっかく人が良い夢見てたのに…」

 それは俺のセリフだよ。
 大あくびをしながら俺を見上げるルキに ものすごく腹が立ったのは、九割九分九厘、願望そのものの夢の邪魔をされたせいだ。

「なんで、また俺のベッドにいるんだよ?」

「えー? 別にいつものコトだろ?」

 確かにそうだけど、いつものコトだけど、それでも今日は許せない。
 あんな夢、もう二度と見られないかもしないのに。
 それでも、もしかしたら、今すぐ寝れば、夢の続きが見られるかもしれないという淡い期待を抱きながら、ルキをベッドから追い出そうと力一杯押す。

「わっ! ちょ、押すな。 落ちるだろ?」

「うるさいっ! 早く自分の部屋に戻れよ」

「何をムキになってるんだよ?」

 ベッドから落ちるまいと必死に抵抗するルキを突き落そうと、渾身の力を籠める。
 早くしないと夢の続きが見られなくなる。

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