Novel Library 3

□『 Symmetry 』 vol. 2
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『 Symmetry 』 vol.2

 とても幸せな気分だった。
 大きくて温かな手に手を取られて、優しく握りしめられる。
 ずっとこんな風に並んで歩いてみたかった。
 叶わないと思い続けていた夢が叶って、嬉しさに息が詰まりそうだ。
 こんなに近くにいるのだから普段できないコトをしてみたい。
 そう思い、俺より高い位置にある顔を見たいと考えたけど、恥かしくてどうしても顔を上げられない。
 間近で顔を見るなんて、こんなチャンスは二度とないかもしれないのに。
 欲求とためらいの間で葛藤していると、いきなり体を抱き寄せられた。
 驚きながらも、力強い抱擁に息が詰まる。
 こんな幸せなコトがあっていいんだろうか?
 まるで夢みたいだ。

「……」

 それにしても情熱的なまでにキツい抱擁だな。
 強すぎて息苦しいくらいで…。

「……」

 つか、ホントに苦しい。

「…うっ…」

 ちょ、これは…さすがに……。

「うぅっ…く、苦し…」

 あまりの息苦しさに思わず呻いた瞬間、目が覚めた。
 なんだ、これ?
 夢?
 夢…だったのか?
 あぁ…そうだよな。 あんなに都合の良いコトが現実に起こるはずない。

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