『 Symmetry 』 vol.2
とても幸せな気分だった。
大きくて温かな手に手を取られて、優しく握りしめられる。
ずっとこんな風に並んで歩いてみたかった。
叶わないと思い続けていた夢が叶って、嬉しさに息が詰まりそうだ。
こんなに近くにいるのだから普段できないコトをしてみたい。
そう思い、俺より高い位置にある顔を見たいと考えたけど、恥かしくてどうしても顔を上げられない。
間近で顔を見るなんて、こんなチャンスは二度とないかもしれないのに。
欲求とためらいの間で葛藤していると、いきなり体を抱き寄せられた。
驚きながらも、力強い抱擁に息が詰まる。
こんな幸せなコトがあっていいんだろうか?
まるで夢みたいだ。
「……」
それにしても情熱的なまでにキツい抱擁だな。
強すぎて息苦しいくらいで…。
「……」
つか、ホントに苦しい。
「…うっ…」
ちょ、これは…さすがに……。
「うぅっ…く、苦し…」
あまりの息苦しさに思わず呻いた瞬間、目が覚めた。
なんだ、これ?
夢?
夢…だったのか?
あぁ…そうだよな。 あんなに都合の良いコトが現実に起こるはずない。