Novel Library 3

□『 True Love なんて いらない 』完結4
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5.
 かれこれ3日間、結有は腐っていた。
 大学には行っていたが、講義もおもしろくなければ友人との会話もおもしろくない。
 おまけに行きたくもない合コンに3件も誘われ、断りの理由を考えるのも面倒だった。
 遊びに行く気にさえなれず、学校から家へ直行直帰の日々を過ごしている。
 おもしろくない理由は分かっている。
 先日の祥悟とのやり取りが尾を引いているだけだ。
 遣り込めるはずが遣り込められ、恥だけかいて逃げ帰って来たのが火曜日の話で今日はもう金曜日だ。
 思い出すと、あの時の感情がそのまま蘇って来るからなるべく考えないようにはしているのだけれど、くさくさする気分はどうしようもない。
 後は一般教養の講義を残すのみで、今日もまっすぐ家に帰るコトになるんだろうと考えながら歩いていた時、前から複数の友人がやって来るのに出くわした。

「結有、今日のパンキョー休講だって」

「マジで?」

 休講と知った友人達の顔はみな一様に明るい。
 普段なら結有もすぐに遊びに行くコトを考えただろうが、こんなに腐った気分ではそんな気も起きない。

「今から、急遽 合コン開催するけど、結有も来る?」

 皆の顔がやたら明るいのは休講のせいだけではなかったようだ。

「んー、止めとく」

 気分が腐っているうえに合コンなんて気を使う場所に行くのは御免だ。
 それでも一応悩むフリだけはしてから断った。
 友人達の欲望がギラついた笑顔に辟易しながら手を振って別れ、急に空いた時間をどう過ごそうかと考える。
 昨日も一昨日もまっすぐ帰った。
 さすがに家で一人で過ごすのも飽きて来た結有は、気分転換も兼ねて宵待草に行ってみようかと考えた。
 が、すぐに迷い出す。
 宵待草に行けば、祥悟と顔を合わせる可能性もある。
 あんな最悪のヤツの顔は見たくない。
 けれど、祥悟を避けるためにこの先ずっと宵待草に行けないのは嫌だ。
 あそこは結有にとって大切な場所なのだから。
 
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