「ちょっ、折口? まだ明るい、っじゃなくて、ここ外、外っ!」
驚いたらしい園田が半パニックになりながら叫んだけど無視した。
見たけりゃ、見ろ。
俺は園田への気持ちを誰に知られたって構わない。 そんな想いを込めて園田を抱きしめる腕に力を籠めた瞬間、いきなり腹に蹴りをくらった。
「…っ……何すんだ…」
「お前の方こそ何してくれてんだよ、バカっ!」
片手で腹をさすりながら園田を見ると、これ以上ないくらい真っ赤な顔をして俺を睨みつけている。
赤面したその顔があんまりにも可愛くて、思わずヘラリと笑ってしまった。
「何で笑ってんだよ。 俺はなぁ、俺は、もうずっと怒ってるんだからな!」
怒鳴った後、園田はフイっとそっぽを向いた。
そう言われて園田の機嫌が悪かったことを思い出す。 それに話があるとここに誘ったのも園田だった。
岩井先輩のコトで見境なくなってたから、すっかり忘れてた。
「そうだったな。 で、お前は何に怒ってるんだ?」
右手の指の間にキャップの部分を引っ掛けたコーラのペットボトルを差し出すと、園田はそれを1本受け取って怒った顔のままで俺を見た。
でも、その顔はまだ赤面している。
本当に押しに弱くて恥ずかしがり屋の園田を可愛いと思いながら、園田が口を開くのを待った。
「今日の、練習試合のコト……マジで怒ってるんだからな」
「ハ?」
唐突に園田の口から発せられた言葉は思いもよらず、ついマヌケな声で聞き返した。
練習試合で何か園田が怒るようなことがあったかと思い返しても、まったく心当たりが無い。
だいたい俺と園田は別チームだったんだし、どっちかと言えばあの試合で腹を立ててたのは俺の方だ。
「試合で、何かあったか?」