『 折口クンの憂鬱 〜 折園シリーズ 番外編 〜 』
面白くない。
本当に、面白くない。
俺は体育倉庫側のコートで練習をする園田を見ながらため息をついた。
ついさっき、2チームに分かれて試合形式の練習をした。
俺は園田の敵チームだったけど、正直そんなコトはどうでもいい。
面白くないのは、園田が岩井先輩と同じチームになったコトだ。
チーム分けをしたのは3年の先輩達なワケで、園田が岩井先輩と同じチームになったのは当然 岩井先輩の下心によるものだというのに、それに気づかない園田のニブさには正直 呆れる。
得点するたびに全員でするハイタッチに乗じてベタベタする岩井先輩に、無防備に触らせてんじゃねぇよ、園田。
そんな嫉妬の念を込めて、園田を見つめてもアイツは気づきもしない。
どうにも頭に来たのは、俺のスパイクをリベロの園田が拾った時だ。
そう、俺のスパイクを園田が拾った。
もちろん、そこには俺の手心が加わっていたんだけれど…。
仕方ないだろ?
園田相手に、全力でスパイクを打てるワケがない。
他の奴なら容赦なく全力で打つけどな。
そんなワケで俺のスパイクを園田が拾って、繋いだボールを岩井先輩が打ち込んで来たんだ。
それを依田のバカが落としたもんだから、園田のチームの得点になった。
そこまでは、いい。
園田の活躍が得点に結びついたんだから、俺も嬉しいさ。
ところが、だ。
その後、相手チームの奴らはハイタッチで喜びあってたんだけど、岩井先輩だけは違った。
ハイタッチしようと手を上げた園田に、俺の園田に抱きつきやがったんだ。
思わず叫びそうになった俺の気持ちを分かってもらえるだろうか?
「〜〜〜〜」
思い出しただけでムカつく。
嫌がらなかった園田にも腹が立つが、岩井先輩に対しては呪ってやろうかと思うほどの憎悪を持ったのは言うまでもない。
それにしても、あれだけ露骨な岩井先輩のアプローチに一向に気づかない園田って何なんだろうな。
まぁ、そういうところも可愛いんだけど。