『 True Love なんて いらない 』
沢田 結有 (さわだ ゆう) 20歳
橘 祥悟 (たちばな しょうご) 28歳
杉本 太一 (すぎもと たいち) 23歳
長坂 和泉 (ながさか いずみ) 25歳
1.
結有(ゆう)が太一(たいち)と出会ったのは、3年前の高3の夏だった。
その当時つき合っていた、好きで好きで周りが何も見えなくなるくらい好きだった男にあっさりとフラれた傷心の夏休みだった。
一人きりの淋しさを紛らわせるために友達から誘われるまま遊び歩いていた時に、自分と同じようにゲイである友達の紹介で知り合ったのが太一だった。
初めて会った時から意気投合して、一緒にいると楽しくて自然と二人で出歩くコトが多くなっていったコトを覚えている。
太一のコトは前の男の時のように盲めっぽうに好きになったわけではなかったけれど、ただ太一の前では自然体でいられたし、一緒にいるコトが当たり前のコトであるかのような親近感を感じた。
だからセックスする関係になるまで、そんなに時間はかからなかった。
ただ結有は前の男で学習してる。
ゲイは、身持ちの緩い奴が多い。
だから、もう本気の恋愛なんてしないと、そう心に決めていた。
「太一のコトは好きだけど、つき合うとか、恋人とか、そういう面倒なのは嫌なんだ。 だからやり友≠ナいいだろ?」
そんな結有の一方的とも言える提案に、太一も特に異論は唱えなかったし、二人の関係はそのままやり友≠ニいう関係に収まった。
以来3年間、互いの距離感に何の不満も無く『俺達は結構楽しくやって来た』と結有は思う。
恋人じゃなくてやり友=B そんな関係は気楽で、きっといつまでも二人うまくやっていけると、そう思っていた。
太一から、突然の話を聞かされる今日この日までは……
「ハアッ? 太一、今…なんて?」
「だから、好きな奴が出来たんだって。 これからは、そいつ一筋っつーの?」
その日、結有は一週間ぶりに 太一に会った。
初めて太一とセックスした17歳の夏の日から付かず離れずのやり友関係は続いていて、二人は3日と空けずに会っていたし、周囲からは完全にカップル扱いされていた。
でも結有と太一の間には、つき合うだ何だの話は出たコトは無く、お互いの位置づけをハッキリさせる言葉を見つけられないまま最近まで過ごしてきたように思う。