Novel Library 2

□『 SLOW LOVE 』 vol. 3
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「一応、オンとオフは弁えてるつもりだよ。 それに圭は得意先の人だしね」

「よく言うよ。 あんな所でベロチュウしといて」

 再び睨みつけると、千早は声を立てて笑った。

「あれは圭が悪い、狼狽えちゃって可愛すぎたから」

 そんなに何度も可愛いって言うな。
 言われて、ちょっと赤くなってる俺も気持ち悪い。
 千早の前だと、どうしてもペースを崩される。

「圭は見た目カッコイイのに押されると途端に可愛くなっちゃうだろ? そういうさ、普段とのギャップが良いんだよな。 俺のツボだったりする」

 褒められてるのか、けなされてるのか良く解らない。
 そのせいで、どういう顔をしたらいいのか判らないままに千早を見ると、ひどく真面目な表情で見つめられた。
 千早のまっすぐな視線を受けた途端、唐突につき合おう≠ニ言われていたコトを思い出した。
 タイプの男にそんなコトを言われて、ぐらつかなかったワケでもないけど、2か月サイクルを断ち切るためにしばらく恋人は作らないと決めたんだから、取りあえずここは牽制しておこう。

「先に言っとくけど、俺は今 誰ともつき合う気ないから」

「なんで? 失恋したてだから?」

 その一言に驚いて、大きく見開いた目で千早を見た。
 どうして知ってるんだ?

「失恋するとヘアスタイル変えるなんて、やっぱやるコト可愛いよな」

「!」

 くそ、多田さんだな。
 即座に後輩イジりが大好きで横暴な先輩の顔が思い浮かんだ。
 このコトを知ってるは多田さんだけだ。
 そう言えば、今日 談話ブースで俺の話をしてたもんな。
 ってコトは、千早は2か月サイクルの話も聞いてるのか?

「ニュースソースは多田さんだろ? あの人、他に何言ってた?」

 俺の質問に千早はニコリと笑った。

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