Novel Library 2

□『 SLOW LOVE 』 vol. 3
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 『 SLOW LOVE 』 vol.3


「解らない…なんで俺は今、お前とこうして差し向かいで ここに座っているんだ?」

 駅からさほど遠くない創作和食の店の個室で、俺は目の前に座る千早を睨みつけた。

「圭がついて来たんだろ?」

 今日、会社で会った時とは打って変わって くだけた口調の千早が楽しそうに笑う。

「お前が強引に連れて来たんだろ! 駅で待ち伏せまでしやがって」

「人聞き悪いな。 デートに誘おうと待ってただけだろ?」

 どんなに俺が睨みつけても、千早はニコニコと笑っている。
 あぁ、この笑顔、たまらなく好きなんだけどなぁ…。
 そんなコトを考えて、ハッとする。
 何、流されそうになってんだ、俺。

「ヘアスタイル変えたんだな。 前より良いよ。 可愛い」

「可愛いって、男に対して褒め言葉にならないだろ?」

「褒め言葉だよ。 実際、圭は可愛いし、ベッドにいる時は特にね」

 くそ、言い返せない。
 確かにベッドの上だと可愛くなっちゃうよ、俺は。
 それでも言い返せないのは悔しくて、つい仏頂面になった俺を見て千早は妙に嬉しそうに笑った。

「つか、お前さ、最初の時と会社で会った時と、それから今、全然 雰囲気違い過ぎじゃね?」

 口調のせいなのか、会社で会った時は違和感を感じて仕方なかった。
 最も、今の千早は あの日のベッドでの意地悪な千早そのものなんだけど。

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