「何って…従叔父さん?」
「従叔父さん?」
拓は香月の言葉をオウム返した。
「っで、あってるのかな? シュウさんは、俺の母親の従弟なんだよ。 だから遠い親戚の従叔父さん」
(親戚だったのか!)
ずっと拓が感じていた香月とシュウさんの親密な雰囲気は血縁者のそれだったのだと知り、急に肩から力が抜けた。
二人の間に何か特別な感情があったのではと正直ドキドキしていただけに、コトの真相にハァッと小さく溜息を吐いた。
「何、そのリアクション?」
拓を抱きしめる腕の力が少し強くなる。
「別に、親戚だったなんて初耳だったから、へぇって思っただけ」
拓は素知らぬ顔で平静を装い、丸めたまま手にしていた雑誌を再び開いた。
丸めた状態で強く握りしめていたのか、くるんとカールした それは開きづらいし、読みにくい。
「別にって感じじゃなかっただろ? さっきの溜息は何なんだよ」
(気づいてたのか…)
吐息にも似た小さな溜息に まさか気づかれているとは思わなかった。
「何って…溜息は溜息だろ? それ以上でも、それ以下でもないから」
なるべく抑揚の無い声でそう言うと、香月はクスクス笑いながら拓の首筋に唇を押し当ててきた。
「っ…なんだよ」
「ね、今のって、もしかして焼きもち? シュウさんに焼きもち妬いたの?」