香月の言わんとするコトが理解できずに拓が首を傾げる。
「だから…」
そうして香月はもう一度同じ動作を繰り返した。
その時点で拓はようやく理解する。
(あぁ、そうか…)
そのまま拓は香月の右手を取り自分の肩に当てた。 そして その手首の辺りを掴んだまま頬を近づけ 香月の手を肩と頬で挟み込むと体をゆっくり後ろに倒した。
ベッドに倒れ込む拓の上に、手を取られたままの香月も引かれ 覆いかぶさるように倒れ込む。
自分を見下ろす香月の手を肩から外し、その手の平に小さくキスをすると拓は言った。
「香月…おいで」
拓を見下ろす香月の瞳が戸惑うように揺れた。
「拓ちゃん……いいの?」
香月の頬を撫で、緩くウェーブのかかった柔らかい髪をくすぐりながら、その頭を抱え込むように 微笑みながら引き寄せる。
「俺は、香月に抱かれたい…」
頭をもたげて香月の唇にキスをする。
どちらが抱くか≠サんなことを真剣に悩み戸惑う香月が可愛いと思った。
キスは そのまま深い口づけへと移り、香月の手が拓の後頭部をしっかりと支えるのと同時に柔らかく熱い舌先が拓の唇を割って差し入れられる。
歯列を舐める舌が確かめるように頬の裏側を何度も探り、口蓋をくすぐるように刺激されると思わず身を捩ってしまう。
それを咎めるように香月の体が拓の四肢をしっかりと押さえつけ、舌を絡め取られる。
「ん…ん…」
溢れる互いの唾液が濡れた音をたて、絡め取られた舌をチュクチュクと吸われると背中を這い上ってくる快感に拓の体が震える。
香月のいやらしくて気持ちのいいキスは 否が応にも拓を昂らせていく。
濡れたリップ音を最後に二人の唇が離れると、それを名残惜しむかのように香月の舌先から銀糸が引いた。