「いーから、貸せ!」
キツい命令口調のせいで、ついウッカリとケータイを出してしまった。ルキはそれを俺の手から奪うと、テーブルに置きっ放しだった自分のケータイと見比べながら何かを始める。
「ユキ、あの人…約束してた返事はくれたのか?」
「あ、あれ…もう少し時間が欲しいって言ってたけど、お前、先輩と他にも約束してたのか?俺、話が見えなくてかなり困ったんだぞ」
「へぇ…ノーじゃなかったんだ」
「?」
俺に答えたわけではないらしく、ルキは小声で呟くとそれ以上何も言わず、結局先輩との約束がなんだったのか教えてくれなかった。
しばらくして操作し終わったケータイが俺に返される。
「あの人のメアド入れといた。ついでに今日のお礼と次の約束の取り付けしたから、後はユキがうまくやれよ」
「ちょっ、送信元のメアドが突然変わったら変に思われるんじゃないのか?」
「平気だ。メアドは聞いてたけど、こっちのは教えてないし、メール送るのも初めてだからな。簡単にバレるようなら最初から成りすましなんてやらねぇよ」
不敵なルキを半ば呆れて見つめる。
すごい自信だ。
でも、ルキのコトだからホントにその辺りは抜かりないんだろう。
「お膳立てはしてやった。後はユキの本気と覚悟ってヤツを見せてもらうとするわ。楽しみだな」
さして面白くもなさそうにルキは笑う。
俺はルキから視線を手元に落とすと、ケータイの送信メールを確認する。
先輩宛のメールの内容は当たり障りのない平々凡々なもので、最後に遠慮がちというよりはずいぶんと自信無さげな文章で、来週の土日の誘い文句が書かれてあった。
それは腹が立つほどに俺が作りそうな文面で、悔しいけれどルキは本当に俺のコトをよく知っていると、そう思わずにはいられなかった。
[ vol.5 END ] 2014.07.20
Symmetry vol.6 へ
ちょっとだけ《あとがき》
久しぶりの 双子第5話です
久しぶり過ぎて、4話を更新したのはいつだろうとチェックしてみましたが日付が入ってませんでした
このスト、実はまだ全体の半分くらいなんです(笑)
こんなペースで書いてて、いつかENDマークが付けられる日が来るんでしょうか? (A^_^;)
ちょっと(かなり?)心配な弘瀬です…
何せ まだ登場して来てない人がいるくらいですから(爆)
超がつくほどのスローペースですが、せめて このストの存在自体を忘れられない程度には更新していきたいです
え? もう忘れてました?
そ、それはっ
地道に頑張りますぅ〜ヾ(;´Д`●)ノぁゎゎ
弘瀬 葵