「なってねぇよ。 つか、どうやったら嫌いになれるのか、方法があるなら教えてくれ」
そんな方法は絶対に無いって、俺が一番知ってるんだけどな。
「そんなの…あっても教えるワケねぇだろ」
折口の言葉に笑った途端、振り返った折口が掠め取るみたいなキスをしてきた。
「さっき園田に好き≠チて言ってもらえて、すげぇ嬉しかった。 園田を取られるんじゃないかって不安に思ってた自分がバカみたく思えるくらい…」
そんな風に折口が思っていたなんて、今も信じられない。 ずっと自信の塊みたいな奴だと思ってたのに。
気持ちを口にするのは恥ずかしくて抵抗があったけど、こんなコトで折口の不安が消えるなら、もっと前から飽きるくらいに言ってやれば良かった。
俺はいつだってそうだ。
折口から何か言われない限り、自分からは何もしてこなかった。
押し寄せる後悔を振り切るみたいに、俺は折口を呼んだ。
「折口…」
「うん…」
頷いた折口の首に両腕を回してそのまま引き寄せて、背伸びをしながらキスをした。
「っ!?」
驚いた折口の様子が唇を通して伝わってくる。
俺から仕掛けた二度目のキスはBGMがマイムマイム≠ナ何となくマヌケだと思ったけど、それでもありったけの想いを込めて唇を合わせた。
もう折口が絶対に不安なんて感じないように、俺の気持ちが伝わるように。
吐息が溶け合うくらい唇を合わせた後、両手を折口のほっぺたに添えてその顔を見上げる。
「折口が好きだ、大好きだ。 折口が聞きたいって言うなら、何回だって言ってやる……めちゃくちゃ恥かしいけど、そんくらい折口のコト好きなんだからな」
言っててなんだかケンカ腰だな≠ネんて思ったけど、そんな俺の心配をよそに折口は蕩けそうな満面の笑みを浮かべた後、ものすごい力で抱きしめてきた。
「どうしよう。 俺、もう自分でどうしたらいいか分からないくらい園田が好きだ」
そんな顔でそんなコトを言われて、どうしたらいいのか分からないのは俺の方だ。
抱きしめてくる腕や、ほっぺたに寄せられた折口の唇の感触が嬉しくて嬉しくて仕方ないんだから。
自然と緩んで来る口許や、熱を持ったほっぺたを自分ではどうしようもできない。
こんなにも折口が大好きで、同じように折口が俺のコトを好きだと言ってくれることが幸せで…。
「ダメだな、俺。 折口のコト好き過ぎて、忍ぶ恋なんて到底できそうにない」
俺にはポーカーフェイスなんて無理そうだ。
折口の腕に包まれて、これから先のコトを少しばかり心配する。
こんなに好きだって気持ちが隠しきれないようじゃ、いつか誰かに尋ねられちゃうだろ?
「恋の想いごとでもしているのですか?」と。
END
《 あとがき 》
こんばんは 弘瀬です
『 Cultural festival 〜折園シリーズ番外編〜 』いかがでしたでしょうか?
《ちょっとだけ あとがき》でも書きましたが、今回は本当に衝動的に書き始めてしまったので、後半かなりキツかったです(笑)
折口も園田も、ちっとも言うコトを聞いてくれなくて…(T_T)
唯一言うコトを聞いてくれたのは岩井先輩だけでした(笑)
いつでも、誰にでも物わかりのいい岩井先輩
弘瀬は大好きです
園田にはフラれちゃったけど、いつか誰かと幸せになって欲しいと願うばかりです
今回、当て馬岩井先輩のおかげで折口と園田の想いはさらに盛り上がった…ハズですが、すみませんっ
折園はまた無期限休止に入ります<(_ _)>
最終回の予定はまだありませんので、また突然 今回のような番外編が出るかもしれませんが、今のところ未定です
また ある日 突然、折口と園田が出現した時には、二人のその後を楽しんで戴けたらと思います
最後まで読んで戴いて 本当にありがとぉございました<(_ _)>
お読みくださった総ての皆様に 心より感謝をこめて
2012.11.08 P.M.22:54 弘瀬 葵