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□『 Cultural festival 〜折園シリーズ番外編〜 』 3
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「それって、俺が鈍くさいってコトですよね…」

「でも、園田はそういう所が可愛いんだから」

 フワリと頭の上に先輩の手が乗せられて、そのまま子供にするようによしよしと撫でられる。
 どうにも情けない気分で先輩の手の平を感じていたら、その手がスルリと流れ落ちてほっぺたの辺りで止まった。

「先輩?」

「……」

 呼びかけても返事をしてくれない先輩の手は俺のほっぺたに添えられたままで、不思議に思って暗闇の中の先輩にもう一度声を掛けようとした時、不意に名前を呼ばれた。

「園田…」

 思わず肩がビクッと震えた。
 先輩…ものすごく近くに居る?
 その声が想像以上に耳の近くで聞こえるのと同時に、先輩の手が触れていない方のほっぺたを温かい空気に撫でられた。
 暗くてよく分らないけど、それが先輩の吐息じゃないかと思った時、ようやくこのシチュエーションがおかしなものなんだと気づいた。
 先輩が俺に変な気を起こすとは思えない。 思えない…けど、さすがにこの状況は変だ。
 それでも先輩が俺に何かしようとしてるなんて考えられなくて、逃げようとか先輩を突き飛ばそうとは思えなかった。

「せんぱ――」

 どうしたらいいのか分からなくて、ただ先輩の真意を探ろうと呼びかけた時、いきなり肩をギュッと掴まれた。

「っ」

 思いもよらなかった先輩の手の強さを感じて、反射的に先輩を突き飛ばそうとした時だった。

「!」

「!?」

 いきなり暗闇の向こうの方で大きな音が響いた。


  ☆『 Cultural festival 〜折園シリーズ番外編〜 』 4

 
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