「園田先輩…?」
いきなり声が戸惑い気味なトーンになった後輩に呼ばれて、何事かと視線を移したら妙な表情で俺を見下ろす後輩と目が合った。
「まさかうちの学校のジンクス知らないワケじゃないですよね?」
「は?」
ジンクス? そんな物うちの学校にあったっけ?
無言のまま首を傾げてみせると、露骨に驚いた顔をされた。
「本気で知らないんですか? うわぁ、俺、あのジンクス知らない人って初めて見ましたよ」
俺に向けられた幻の生き物でも見るみたいな目つきが感じ悪い。
「人を珍獣を見るみたいな目で見るな!」
「いやぁ〜、珍獣の方がまだ遭遇確立が高いかも」
えらい言われようだな。
けど、うちの学校にジンクスがあったなんて俺は本当に知らないんだけど?
「岩井先輩はジンクスのコト知ってるんすか?」
ひたすら驚いている後輩を無視して岩井先輩に聞いてみた。
もしかしたら岩井先輩だって知らないかもしれないと思ったからだ。
「ん? まぁ、一応は知ってるけど…」
「……」
そっか、先輩も知ってるんだ。
でも、それって知ってなきゃいけないようなコトなんだろうか?
「きっと園田先輩だけだと思いますよ、ジンクス知らないの。 2年もこの学校に通ってて疎いにもほどがありますけど、でもまぁ俺が教えてあげますから大丈夫です」
「別にいらねぇよ、そういうの興味無いし」
って言ってるのに、後輩は完全に俺を無視して話し出した。
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