Novel Library 4

□『 Cultural festival 〜折園シリーズ番外編〜 』 1
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「うちのクラス、今日になって欠席が3人もいてさ、手が足りないからこの後も当番続行なんだよ」

「マジで?」

 やってられないとばかりにもう一度ため息をついた折口を、呆気に取られた表情で見つめてしまった。
 その様子で折口もおもしろくないのは十分に伝わって来たけど、俺だって一緒に回るの楽しみにしてたのに。
 つか、折口以外と約束してないから、この後の時間を俺は1人で過ごすコトになるのかと思ったら言葉も出なかった。

「ホント悪ぃ。 どっかで切り上げられるとは思うけど、今すぐは抜けられそうにないんだ」

 そういう事情なら文句を言っても仕方ないのは分かるけど、このまま一緒にいたら不満をぶちまけてしまいそうだった。
 でも、そんなのってカッコ悪い。

「なら、しょうがないよな。 いいよ、俺、適当にまわってくるから」

 言うが早いか、振り返り廊下を歩き出す。

「園田、抜けられたら即ベル鳴らすから」

 後ろから追いかけて来た折口の声に、振り返らないまま手だけ振って見せる。
 振り返るなんてできなかった。
 今、自分がどんな顔をしてるか俺には良く分かってるから。
 例えるまでもなく、それはわがままが通らなかった小さな子供が見せる拗ねた顔だ。
 そんな顔を折口に見られるなんて嫌だ。
 だから、俺は前だけ見て廊下に溢れる人混みに紛れるようにして折口から遠ざかった。
 いくら楽しみにしてたからって、俺の考えはガキ過ぎてカッコ悪いにもほどがある。
 そう思っても、俺の表情筋は普段の顔を忘れてしまったみたいに強張って、への字に曲がった口が元に戻るコトは無かった。

「みっともねぇの…」

 階段を下りながら、少し人波の引いた踊り場で立ち止まった途端、思わず独り言が漏れた。
 みっともないのは今のこの顔か、それとも折口と一緒にいられなくなったコトをこんなにも悲しく思ってしまう俺自身か、自分の独り言だと言うのにまったく判断がつかない。
 そのまますぐにケータイを取り出した。
 誰でもいい。 今、空いてる奴を見つけて合流しよう。
 このまま1人でいたら、今以上に情けない思いに駆られそうでたまらなく嫌だ。
 田淵やバレー部の友達何人かに一斉メールを送れば一人くらいは掴まると思う。

「園田?」

 メールの短い文面を打ち終わった時、不意に上の方から呼びかけられた。
 送信ボタンに掛けた指を止め、声のする方に顔を向けてみると、そこには――


  ☆『 Cultural festival 〜折園シリーズ番外編〜 』 2



 《ちょっとだけ あとがき》

ども、弘瀬です(^▽^)/ ご訪問下さって ありがとぉございます

お久しぶり、というか…無期限休止していた折園シリーズ 書き始めてしまいました(笑)
季節柄か、折園で文化祭ものを書きたくなってしまったものですから
プロットはできてるものの、わりと見切り発車というか、衝動的に書き始めたものですからタイトルがそのまんま≠ネんですよね(゜☐゜;)アワワ
何の捻りも無いという…

今回は番外編なので、最終回ではありませんが、短めなものを1本 のんびりとUPして行きます
いつもの如く亀更新ですが、気長におつき合い戴けると嬉しいです<(_ _)>

  弘瀬 葵  2012.10.14

  ☆『 Cultural festival 〜折園シリーズ番外編〜 』 2


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