狭川 孝輔
冴木 奏多
木下 修斗
岡田 颯生
クリスマス・イヴの朝、奏多、孝輔、木下、岡田の4人は不穏な空気の中に その身を置いていた…
TURNING POINT 番外編 第3弾 [Xmas
企画]
『 迷走 Holly night 』
プロローグ.
私鉄から在来線に乗り換えて、4人掛けの席に向かい合って座った 狭川孝輔、木下修斗、岡田颯生、そして俺 冴木奏多の4人は 1人を除いて それぞれが複雑な表情で黙り込んでいた。
孝輔は完全な仏頂面だし、岡田は相変わらず気苦労の絶えなさそうな困り顔で、俺は怒るというよりは呆れた思いで、ただ一人 飄々としている木下を眺めた。
「話がまったく違うよな? 」
怒りを無理矢理抑え込んだような口調で孝輔が木下を睨みつけるけど、木下は気にする様子も無く 頭の後ろで両手を組み、長い足を持て余し気味に組んで言った。
「仕方ねーじゃん、こっちも予定が狂ったんだからさ〜」
「だからって――」
気色ばむ孝輔をなだめるように岡田が口を挿んだ。
「ごめん、マジで孝輔と奏多には悪いと思ってるんだって。 ホントは修斗だって、そう思ってるはずで――」
「えー? 全っ然 思ってねーし」
岡田のフォローも空しく木下が切り捨てたものだから、孝輔にマジ切れの雰囲気が漂って来て、俺も慌てて口を挿んだ。
「も、こうなっちゃったんだから仕方ないだろ? せっかくなんだから、楽しく行こうぜ? なっ?」
孝輔が、何か言いたげな抗議の目を俺に向けてくる。
孝輔の気持ちが解らない訳じゃない。 正直言えば、俺だって木下の言動にはいささか頭に来ている。 でも、こうなってしまった以上、何を言っても事態は変わらないんだから、諦めるしかないと思うんだ。
4人の間に気まずい沈黙が降りている。
俺は深いため息をつきながら、コトの発端である11月初旬のあの日の放課後を思い出していた。