手を取られ、その掌に口づけられ指を咥えられる。 指先から甘い痺れが体に響く。
結有の指に這わせた舌が再び掌に戻り、手首から尺骨の突起へと這い肘へ進むのを感じながら結有は声を震わせた。
「俺だって言ったろ? 祥悟さんのコト好きだって。 何されたって嫌いになんてなれないよ」
そして秘密を告白するように目を伏せて小声で呟いた。
「たぶん…どんなコトされても、嬉しいと思っちゃうだろうし…」
「…それ、焚き付けてるのか?」
「そうだよ。 だって、今日はまだ、ちゃんとしたキスもしてないんだもん」
言うなり祥悟の顔を引き寄せ唇を合わせた。
舌を差し入れて歯列を舐め頬の内側や口蓋に舌を這わせた後、祥悟の舌を吸い取りくちゅくちゅと音を立たせて絡める。
押し付けた唇の端から唾液が垂れ、互いの呼吸が上がり始めた頃にようやく唇を離す。
「祥悟さんからしたら俺なんて子供なんだろうけど、祥悟さんが思ってるほど初心じゃないよ。 もっとずっと、やらしいんだ」
挑むような目で祥悟を見上げながら、内心はドキドキしている結有だった。 もし祥悟に引かれたらという思いが無かったわけではない。
でも、こんな淡い愛撫で焦らされるのは我慢の限界だった。
どんなコトをしててでも手に入れたかったという言葉が真実なら、言葉通りに奪って欲しかった。
見上げた瞳が祥悟の言葉を待つうちに不安の色を見せ始めると、祥悟が笑った。
呆れているのか、片方の眉が微かに上がったような気がした。
「すぐに恥ずかしがるくせに、こんなエロいキス仕掛けて来て…」
「引いた?」
「バカだな、引くわけないだろ」
祥悟の笑顔が近づき、目尻にキスを落とされる。 そのまま額に瞼に頬にと何の法則もないままに唇が触れる。
くり返し結有にキスを落とした唇が、耳を擽ると囁きが吹き込まれた。
「でも、あんまり経験値をひけらかすなよ……妬けるだろ」
閉じた瞼を開くより先に唇が吸われた。