Novel Library 4

□『 True Love なんて いらない 』 完結9
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××××××××

「あ、祥悟さん? 今、駅前なんだけど」

 祥悟の家の最寄駅の改札を抜けると、結有はすぐに祥悟のケータイにコールした。

「何か買っていく物ある?」

 学校が終わった後に祥悟の家に行く時はこうして買い物をしていくのがいつの間にか常になっていた。
 休みの日であれば二人で買い物に行くコトも少なくはないが、平日の授業後に祥悟の部屋を訪れる時は二人でいられる短い時間がもったいないような気がして買い物などに出かける気になれず、結有の方からついでと称して請け負うようになった。
 もちろん、そんな思いを持っているなどと祥悟には伝えていないが。

「え? 電球?」

『あぁ、玄関と廊下のダウンライトが両方一緒に切れちゃったんだよな。 とりあえず一個でいいからコンビニで見て来てくれないか?』

「了解、見てくるよ。 口金とかの型は? うん、分った」

 ケータイを切ると、すぐ目の前にあったコンビニへと足を運ぶ。
 同じ型の物があればいいのだけれど、と生活用品の棚の前に立ち視線を這わせると一番下の棚に何種類かの電球が置いてあった。
 祥悟に聞いた型を思い出しながら同じ型の物を見つけ、手に取ろうと腰を屈めた結有の目の高さの棚にフッと視線が移る。
 目指す電球を手に取りながら、結有の視線はある物に止まったままだった。

(スキンか…)

 それを見て避妊具なんて必要のない生活をずいぶん長い間送っているコトに、結有は唐突に思い至る。
 祥悟と正式につき合うようになっておよそ2か月が過ぎていた。
 その間に夏休みも終わり、季節はいつの間にか秋の気配を感じさせている。
 約束通り、祥悟は結有に一切の手出しをして来ない。
 それどころか、キスでさえ頻繁にはした覚えが結有にはない。
 元より祥悟が淡白なのか、それとも人一倍理性が固いのか、もしくは忠実に結有との約束を守っているのか、祥悟はそういった欲望を垣間見せるコトさえなかった。

「……」

 左手に下げた買い物かごに電球を入れ、その手で避妊具の小さな箱を一つ取り上げる。
 
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