「も、今日は遅いし…裕人だって疲れてるだろ?」
首筋を這う舌の感触に震えながら香月の肩を押し返しても、その体はまったく拓から離れる気配がない。
「疲れてる時のが、いーんだって。 それに今からは大人の時間だろ?」
「ガキのくせに…」
「選挙権も持ってる立派な大人です。 ほら」
いきなり手を取られて香月の下腹部に導かれ、思わず手を引きそうになったが拓の手をしっかり掴んだ香月がそれを許さない。
手の平に固く張りつめた欲望の感触が伝わる。
「なっ? 大人だろ?」
欲を孕んだ表情を隠そうともしないでニヤリと笑って見せる香月に、顔が赤く染まるのを止められない。
「大人っていうより…裕人、エロ親父みたいだ」
「酷ぇな。 でも、そこまで言うなら覚悟できてるよね、拓ちゃん?」
口許に優しげな笑みを浮かべながら、目だけは全然 笑っていない香月が拓の小さなあごを掴んで顔を寄せてくる。
途端に拓は自分の失言に気づいたが、遅かった。
疲れているだろう香月を少しでも休ませてあげたかったのに、恥かしさのあまり口走った余計なひと言で香月のスイッチを入れてしまったようだ。
「な…何?」
「ハタチの体力見せてやろうじゃん。 泣くほど恥かしいコトしてやるっ!」
言うなり拓のパジャマを剥ぎ取って、体中のあちこちに赤い痕を残しながら唇を這わせる香月に僅かながらも抵抗したが、力では敵わないコトは先刻承知だ。
体中を這う大きな手がもたらす くすぐったいような甘い疼きは、いつもよりずっと早く拓の体を熱くした。
(頭が性感帯ってホントなのかも…)
自分の足に押し付けられるように当たる香月の欲望と同様に、下着の内で触れられる時を待って固く兆し始めた自分自身を感じながら拓は思った。
そう。 本当は拓もずいぶん前から、香月が欲しくて仕方なかったのだ。
性急な香月の愛撫を全身で受け止めながら、拓は香月の背にしがみつくように腕を回していった。