咲く夢花

□第0話〜終わりと始まり〜
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死んだと思った
目の前には大きなトラックが迫って来ていて、運転手は寝ている
周りの人たちの悲鳴を聞きながら私は地に伏した

そう、そこで死んだはずだったのに…
今の状況は何?
目の前にはふわふわと浮いた青年

≪もしもーし。状況確認は終わった〜?≫
『まだ』
≪も〜。そろそろ説明しちゃいたいんだけど?≫
『…よし!これは夢なんだ!さー寝よう!お休み!』
≪ちょっ!まって!寝ないで!これ現実だから―!≫

私が床に横になろうとするとふわふわ浮いている青年が止めてきた
なんだと言うんだ。
これは夢なんだから寝れば起きるはずでしょ?
そもそも、現実世界に浮いている人なんか居るわけないんだから、これは夢なんだよ!

≪現実逃避してるところ悪いけど、これは現実で、君は死んだんだ≫

その言葉にモヤモヤしていた思考がクリアになった
いや、真っ白になったというべきなのかな?
死んだという現実を思っていた以上にすんなりと受け入れてしまった自分に冷静に笑ってしまう

≪さて、落ち着いたところで、君は死んだんだ。だけど、君が死ぬのはまだ時期じゃない≫
『どういうこと?』
≪その前に自己紹介!僕は空間の守護神の<ジン>!分け合って、空間の歪みを治してくれるんだ≫
『空間の歪み?』
≪うん。ある世界の空間…世界観が崩壊し始めててね。それを治してた時に君が死んでしまったんだ≫
『は?』
≪つまり、空間の歪みのせいで君は亡くなったの≫
『はいぃぃぃ!?』

ちょっと待て!なんて言った!?
空間の歪みのせいで私は死んだの?
え?意味が分かんないんですが!

≪ごめんね?だけど、死んだ人間を生き返らすことはできないんだ≫
『…なら、私はどうなるの?』
≪そこで、君、僕を手伝ってくれない?≫
『はい?』
≪この歪んだ世界を君が治してほしい≫
『む…無理だよ!私なんかにそんなのできるわけないじゃん!』
≪僕は、世界に直接関わることができないんだ。だから、君に行ってもらいたい。僕なりの罪滅ぼしだと思って次の余生を楽しんでおいで≫

そう言われたとたん、目の前が真っ白になった
そして、次の瞬間には私は

空から落ちていた


『はいぃぃぃ!?なんでぇぇ!?』

一人でパニックになっていると、頭の中にさっきの青年の声が響いてきた

≪(あ!言い忘れてたけど、身体能力は極限まで上げてあるから!それと、肩にかけてる鞄に悪魔の実を入れておいたから食べておいて!)≫
『はい!?ってか、ここどこの世界よ!』
≪(悪魔の実って言って分からない?君の世界で言うONE PIECEだよ)≫
『マジで!?いや、それより下が海なんですけど!』
≪(だから、鞄に入ってる悪魔の実を食べなよ)≫
『食べたらカナヅチになるじゃねーか!』
≪(いいから、食べて!それから能力の説明するから!)≫

そこまで言われたら、食べるしかないじゃんか!
意をけして、私はいつの間にか肩にかかってた鞄から悪魔の実をだした
桃の形をて紫色にグルグル模様…
ガブリと食べると、マジでまずい!

≪(ん。しっかり食べたね?この実はユメユメの実。考えたことが実現することができる。正し、知識としてしっかりと有ってその名前の名称も言えないと実現しない。想像力で変わる実だよ。今の状況を打開できる技とかを想像して、その名前を言うんだ)≫

そこまで言われて私は目を閉じた
この状況を打破するには…
あ!謀魔道師のあの技がいい!

『翔封界(レイ・ウィング)!』

しっかりと浮く感じで頭の中で思い浮かべて言うと、落下が止まった
うっすらと周りが風で被われており、本当に魔法を使ったことが分かった

≪(うん。能力は大丈夫そうだね。そんな感じで頭の中で想像して言葉に出せば技でも物でも出るよ。正し、この世界の住人が使っている技は使えないから気をつけて)≫
『分かったけど…これからもジンはいるの?』
≪(まぁ…僕も忙しいから呼ばれたら話し返す位はするけど、返事できないことの方が多いかな?)≫
『そっか…あ!なら一緒に居る相棒が欲しいな!』
≪(なら、その子は僕が特別に用意するよ。君の能力で出したものは君が気絶とかするとすべて消えてしまうからね)≫
『うん。分かった。あ!動物で私と意思疎通が可能で体の大きさを変えられる子がいいな?』
≪(了解)≫

私の言葉を聞くと、ジンはパチンと指を鳴らした
すると、私の手の中に小さなグレーの犬?らしき子がいた

≪(その子は神獣血を引く狼。神獣になる資格があった子だよ)≫
『資格があった?』
≪(…その子の母親が亡くなったばかりでね、神獣としての程気を受けることなく亡くなったからその子は神獣になれないんだ)≫
『なら、何でこの子を?』
≪(早くに親を亡くしたこの子の家族になってくれるかい?神獣の血を引くから君との意思疎通はできるし大きさを変えることもできるよ)≫
『そ…っか…うん。この子大切にするよ。名前は…どうしようか?』

私は手の中に居る狼を持ち上げた
グレーの毛がふわふわで、まだ幼い感じがある
生まれたばかりでまだ目が開いているのかも怪しい…
うん?

『ちょっと待って!私、子犬とか育てたことないんだけど!?』
≪(大丈夫。もう少し先に行ったところに島が見えて来るから。そこは別名、動物大国。そこで飼育の仕方を聞いておいで。まだ子供だからミルクは必要なんだ)≫
『なら、タオルかなんかないかな?このまま飛ぶとなると、冷えちゃう』
≪(それなら、鞄の中に入ってるでしょ?)≫
『あ…タオルあった!ん?これは?』
≪(それは、この世界のお金だよ。一定金額を下回ると増えるようになってるから!)≫
『あ…そう…』

私は鞄から出したタオルを狼に巻いて、翔封界(レイ・ウィング)でジンが示した方向に飛ぶ
お金が入っていた財布の事はありがたいけど、一定の金額を下回ると増えるって…怖いな…
とりあえず、今はこの子を育てるために行かないと!
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